時雨の母親は京の公家筋の姫で、没落して身売りされる寸前を先代が惚れ込んで連れ帰って祝言をあげたが、夫婦中は冷えきっており、寝所も別なのに腹に宿って生まれたのが時雨で…なので、本当の父親が誰なのかわからないまま。
先代は時雨が自分の子ではないのが解っているので、赤ん坊の頃から時雨を虐待ばかりしており、そして、なにより母親も庇おうともしなかった上に自分の子を捨てて出ていたったと…。
そして、時雨はあの、凛が手込めにされかけた日…凛が気を失った後、利助を殺してしまったと言う真実…。
「だから、復讐なのね……小さい頃にひどい目に遭わされたから、時雨様はご隠居様を……」
しかし、お菊は凛のためだと思う、と…。
「……時雨様はあんたを守ろうとしたんだよ」
「あんたを傷つけようとした利助様を、どうしても許せなかったんだ」
「母親に捨てられ、先代には苛め抜かれて、あの方の心は壊れてしまったんだよ」
と……ここで初めて聞かされる、時雨様の衝撃の真実が…糸里始め、なくなった遊女……事故死や病死だと理由をつけて、地下室で折檻されて死んでいった遊女を始末していた事を聞かされます
「時雨様は病気なんだよ……誰にもあの方を止められやしない」
「気鬱に陥ると、遊女を折檻して、いたぶられてるのは自分じゃないと確認しないではいられないんだ」
時雨様の目が見えなくなっていくことが不吉な予兆の気がしてしかたないと、既に時雨と凛の関係に気付いていたお菊が、泣き崩れながら全てを告白して、時雨を助けてと言ってきたのです
ある日、凛は時雨の内証にある時雨の文箱に入っていた彼岸花の押し花を見てしまいます。
それは…凛の故郷で、幼い凛と、まだ少年の頃の時雨が初めて出逢った日に、凛が時雨にお見舞いと称してあげた物で…。
湖の脇に彼岸花が咲く中、こめかみを怪我して血を流して無表情で座っている若き日の時雨様…。
このスチルが又なんとも幻想的と言うか…儚げと言うか…。
今も麗しい時雨様ですが、若い頃は又更に美少年であります。
お見舞いと、その場にあった彼岸花を貰った時雨ですが、彼岸花は毒を持っていて、死人花や地獄花、幽霊花と呼ばれており、持ち帰ると火事になると言う言い伝えも
ると伝えます。
しかし、彼岸花は
「葉見ず、花見ず」と言って、葉と花が同時には存在せず、「葉は会えない花を想ってるし、花も会えない葉を想ってる」
「いつでもお互いに、焦がれて求め合っているーーだから、相思花という名前もあるんだよ」
と、その時に凛は時雨に教えて貰ったのでした。
お菊に頼まれ、時雨の食事の手伝いをする凛。
毒味と称して先に桃を食べた凛を強引に口から奪い取り、凛が欲しくなったと言う時雨ですが、又その時、一瞬目が見えなくなっている事に気付いた凛はなんとも言えない気持ちになり、自分から時雨に口づけ、見えなくなっている目の傷口を舐めるのですが、時雨に拒否され、凛はお仕置きと言われ、又体を重ねる二人…。
ある時、
凛は時雨に目の事を言うと、時雨は目が見えなくなる事が罰なら抗おうとはおもわないと…。
凛は糸里や先代のことかと尋ねると、
「まだそれだけしか知らないのか」と。
その時、桜華屋に捕り物が押し掛けます
「桜華屋時雨に父親殺しと遊女殺し、および火付けの嫌疑がかはかっておる」
凛は時雨を連れ、地下室へ隠れ、なんとか同心をまきますが、その後に地下室を力任せでこじ開けて入り込んできた人物がおり、それは時雨を役人に密告して、辰吉に手引きして現れた惣一郎なのでした。
しかし、時雨を置いていけない、側にいたいと凛が拒むと、惣一郎は、凛の実家の清洲屋に人を雇って火をつけたのは時雨だと言う事実を凛に話します
そうです
時雨様は凛を手に入れたい為、清洲屋が借金を抱えれば、両親が凛を吉原に売ると考えての行動がそれだったのでした
惣一郎が「あの優しい二人が。そんなことを、するわけもないのに」と言うと、
「ああ……あれは私の誤算だったよ」
「まさか、親というものが、そこまで我が子を大切にするものだとは知らなくてね」
「娘を遊女にさせて生き延びるくらいなら、いっそすべてをおしまいにしようとーーあの潔さには驚かされた」
「この子をまきこんで一家心中とまではいかなかったのが、唯一の救いだったけれどね」
そして、凛は両親のその現場を見ていたことを思い出すのです。
そして、惣一郎は凛をも手に入れた時雨を許さないと銃を時雨に向けますが、凛はそれを止め、
時雨に本当に自分を手に入れたい為だけに両親を追い込んだのかと問うと、
「桜華屋の将来のために、どうしてもお前を引き取りたかったんだ」
「目録見通り、お前はよく稼いでくれた。見た目を裏切らない、素晴らしい体の持ち主でもあったしね……」
凛はうそだと言ってくれと駆け寄ろうとしますが、惣一郎に止められ、しかし、私を庇って怪我をしたことも打算だったのかと問います。
すると、時雨は潮時だと、そして、凛に何か言いかけて止め、行灯油を床にまいて火をつけます。
相思花 ~真相エンド~
半狂乱になる凛を惣一郎は無理矢理地下室から連れ出し、地上に逃げ出せたのですが、
幼い頃の約束を果たそうと想像もつかない苦労をしてまで自分を迎えに来てくれた惣一郎。
そんな彼を差し置いてでも心を求める人がいると、凛は又燃え盛る桜華屋の中を一人、
柚子が泣き叫び、惣一郎が呼び止める叫び声の中、入ってゆくのです
地下室のある内証までなんとかたどり着くと、
どうにか焼け残っている部屋の隅に、凛がかつて時雨にプレゼントした、もう原型を留めていない眼鏡を手に倒れている時雨が
自ら死を覚悟して火をつけたのに、どうしてもさいごに手にしたかったものーーー。
凛はなんとか息のある時雨様を呼び起こしますが、気がついた時雨様はもう目は見えていないのでした…。
それでも、時雨様は凛をまきこもうとは思っていないと、逃げろと怒鳴り付けますが、
間違いを犯してきても、最後の最後には凛を、
自分を守ろうとする人……凛はようやく掴めた確認に胸の奥が澄んでいき、一人では逝かせない、一緒にいる、連れていってと…。
そこで、
時雨様は凛がくれた彼岸花の話をします。
「ーーーあれは、綺麗だった」
「お前に出会って初めて……この世に綺麗なものがあるのを知ったよ」
「あのときから、ずっとお前が欲しかった」
「何も、お前の恋人や夫になりたかったわけじゃない」
「何があっても穢れないお前の魂を目にしていれば、自分も生きていける気がした」
「お前が私を優しいと言ってくれれば、優しくなれた」
「尊敬すると言ってくれたから、そうあろうと努力した」
「凛が私を「人」にしてくれたんだよ」
<
div>「ずっと、そのままでいられたらよかったんだけどねーー」
「ーーー私の裏の顔を知って怯えたお前を逃したくないと思った」
「失われた信頼が戻らないなら、いっそ……お前をこの手で穢したかった」
「色に狂う醜悪な姿を見れば、見切りをつけられるかもしれないと思ったんだ」
「だけど、逆効果だったよ。抱けば抱くほど執着が増して、溺れてしまう」
ここでやっと時雨様の気持ちが聞けました
やっと心に触れられたと、炎が燃え盛る中
「もう一度だけでも、お前の顔を見たかったよ」
「ずっと、時雨様のおそばにいます」
唇を合わせ続ける二人。
凛が、炎が彼岸花が咲いているみたいと言うと「ああ、わかる……見えるよ」
と…時雨が見ているのはきっと脳裏に刻まれた過去の光景…。
「私たち、あの日に帰るんです」
「あそこからもう一度出会い直して、今度は……」
「そうだね。今度はきっと、お前とーー」
もぅ、凛が炎の中、時雨様を求めて戻る辺りから涙ボロボロして来て…。
時雨様の本当の気持ちの切ない想いと、やるせなさと、それでも共に逝くと…って。
もうもう、終盤は涙ボロボロ流しながらプレイしてました
あぁ、二人のこの結末は仕方ないんでしょうが、本当にあの日に戻って今度は……って願わずにはいられませんです、はい…。
凛のためにあろうとしていても、どうしても愛されず、愛を知らず、酷い生い立ちから来る彼の心の底に根付いた黒い記憶は、どうしても追い払えなかったんですよね…
私、病みキャラ耐性は余りなくて…。
同じく乙女ゲームなんですが、今は無き、クインロゼの「逢魔ケ時~怪談ロマンス~」の真相ルートで、同じ様に、ヒロインを手に入れたいが為に、メインの攻略対象が実はヒロインの家族を惨殺していて、ヒロインはその記憶を失っていて…ってのがあり…って、あれれ
めっちゃ似てる
まぁ、それは置いといて…(苦笑)
私は百歩譲ってもそのルートが道徳的に受け入れられず終わり、むしろ、病みキャラ&病みルートは避けたい…位までになったんです
ですが、時雨様の真相ルートは、
ヒロインの凛と同じく、許せないのに…って複雑な思いで…。
それまでの彼の事と、凛と出逢ってからの事とか色々考えて…。
勿論、それでも許されない事でありますし、
納得出来ないって人もいるのは承知なんですが…なんと言うか、気持ちが複雑に絡まりつつも、彼のルートをプレイして、私は時雨様に気持ちを持っていかれてしまいました
見ている ~バッドエンド~
あの火事から一カ月…焼け跡からは一人の人骨と、そして罪を重ねて自害した桜華屋時雨は江戸中の話題をさらっています。
又、凛は火事に乗じて行方不明となっているのですが、惣一郎の所におり、しかし、心此処にあらずの凛…。
そんな時、彰人が凛の行方を調べて訪ねて来、
生前、何かあった時の為にと時雨から凛へと預かっていた小判の山を持ってくるのですが、
その山さえも一部で、三千両あるとの事
彰人からは、生きることがどうでもいいようだった時雨が、凛が来てからよく笑うようになり
「嘘臭くないあいつの笑顔を見たのは……お前といるときだけだった」
と、そして時雨は自分には凛には不似合いと、凛に負い目があった事を聞かされます。
焦って凛をなんとか留めようとする惣一郎は
「……時間を置いたって、多分、君は俺を見ない」
「それどころか今は、死んだ桜華屋のことばかり考えてるだろう……?」と。
結局、時雨様の本当の所に触れられなかった凛は時雨の事ばかり考え、
体を求めてきた惣一郎に、優しくしないで、ひどくしてと。
「私のこと、物みたいに……壊れても構わない人形みたいに、抱いて……?」
「ーー時雨様は、そうしたわ」
「私ね……それが、とっても好きだったの」と。
惣一郎も否定しながら、何か吹っ切れたのか、自分がそれを塗り替えればいいんだろうと…
そうして、一年…。
凛は惣一郎を時雨の身代わりにし、
惣一郎もすっかり凛への扱いが変わってしまっていてるが、そうされる事で、凛は常に、いつものようにとこからともなく時雨の声が聞こえ、凛の視界にだけ、乱れる自分を見ている時雨を感じ、ぞくぞくと、自分は時雨様に抱かれているのだと粟立つのでした
さて、
真相エンドと真相のバッドエンド終えましたが…OP曲の「相思花」
真相ルートをするまでは、歌詞の内容はメインである惣一郎ルートの曲だと思っていたのに、
時雨様から「相思花」の事を聞き、真相ルートをプレイし終え
ると、タイトルからしてそうなんですが、これはもぅ、絶対的に時雨様ルートの曲としか思えません
バッドエンドの「あなたとならば」がさしずめ惣一郎のバッドエンド曲なんですかねぇ
ちなみに、おまけの「相思花」では、時雨様目線の凛との出会いが描かれています
これで、吉原彼岸花、攻略全て終えました
吉原と言う異質の世界。
吉原彼岸花と言う、花魁の禁じられた恋。
そして、全てが明らかになる
罪と罰の彼岸花…そう、相思花の意味が解る時雨様の真相ルート。
真相エンドは犯した罪の重さ故の結末で、ハッピーエンドとは到底言えない終焉を迎えましたが、
私の心をわし掴みにした事に間違いはありません
結論
どっぷり入り込みましたし、泣きました
吉原彼岸花、とっても良かったです
声優さんも、興津和幸さんや森川智之さん好きですが、でも、めちゃくちゃ好きな人が揃ってるとかでもなかったんですよね。
でも、それが又良かったかも。
私にとっての苦手キャラや苦痛ルートが無かったのが何より良かったですし、どのルートも楽しめました
1つ言うなら…PSVitaなんで仕方ないけど、
18禁箇所も凄い良い仕事してるって話を聞いてるので、見たい(声優さんの艶ボイス聴きたいw)ってめっちゃ思いましたwww
敢えて言うならば、最下位キャラは表メインであるのに、惣一郎でした(苦笑)
迎えにまで来てくれたのにすみません
ww
そして、好きなキャラは辰吉と、
時雨様…複雑な気持ちは交差しますが、
色んな意味を込めて愛しいです