七月大歌舞伎・松竹座・夜の部 《御浜御殿綱豊卿》の
『 市川中車先生・固執記録 』の続きどす
《第二幕 第三場 御浜御殿元の御座の間》
綱豊卿からの「ここで奉公せんか?」に対し、仇討ちを目論んでいるためYESとは決して言えない
富森助右衛門氏。。。
証文表の件もそうどすが、何とか断りの理由をつけようと台詞を並べられます。
『小鳥を飼うのが得手ものですので、鶯
でも飼って大名に売り歩こうかと』と、はぐらかされたり…
助右衛門氏 のそんな返しに対し殿は悠々と「ちと知恵が足りぬ様じゃ」と。。
その際
助右衛門氏 は瞳を動かしムッとしたご表現を。。
さらに殿はゆさぶりをかけ、
助右衛門氏 がこれなら
大石内蔵助も大したことはなかろうと皮肉を述べられます
この仁左衛門丈の台詞の間、先生 の
助右衛門は、瞳を左右に動かされたり、そわそわと煙管を吸ったり、口を歪められたりと、ボス大石を悪く言われることへの不服を表情で見せられたうえ、さらにその最大の表現として、灰皿を煙管でカン!!と打たれましたよ
更に綱豊卿は、大石内蔵助らの仇討ち計画が失敗に終わることを、吉良をネズミに例え揶揄し話されます。
この間、
助右衛門氏 に台詞はないのどすが、綱豊の話に反応され、息を漏らされたりお肩を動かされたり、お口を片側に上げたりすぼめられたりと、台詞はなくとも助右衛門 のその心理をしかとお見せくださいましたよ
さすが
先生どす
更に助右衛門氏 は殿の話の最中、沸き上がる怒りを、煙管にて灰皿を打つ回数でも御表現
そしてこれが、綱豊卿の長い長い台詞間の良いアクセントとなっている様にも感じましたよ
一回、二回、三回と増え、最後は
カンカンカンカンカン!!との連打
笑いも起きてましたし
話の中で、吉良ネズミを捕らえたはずの壺をそっと空けると「中は空っぽ!!」のところにて、『や!!』と声をあげられ右手の煙管を落とされましたよ
その後、袖を掴み握りこぶしで怒り表現。
ワナワナと腕を震わされる際、頬も一緒に震えていらっしゃる為、演技で腕を震わしているのではなく、全身全霊の
助宇衛門 の本気であることが伝わりました…
その後、煙管をひろうこともなく、その体制のまま前をキッっと睨むよう見据えていらっしゃいましたよ。
更に揶揄話は、大石達が壺を覗いている頃には吉良のネズミは、米沢というところまで逃げていき、その後のほほんと隠居生活を送るのだと続きました。
そして後には阿呆カラスがカァカァ~と、とまで言われましたよ。。。
カラスのくだりでは、助右衛門氏、歯をくいしばられましたよ。。
しばらく腹立たしそうに肩で息をされた後、大きく息を吸い背を伸ばされお手を腿に置かれると、怒りを抑えるよう静かに、『ここは、、、』と話出されましたよ。
怒りを抑えようとする絶妙な御表情がすごく良いんです
『あなた様の御殿内にございます。』
声のバリエーションも多種。
『何をたわけた好き放題』
で、少し小馬鹿にするような笑みを。
たとえ殿の話が間違っていても、周囲の者は殿の傘下。
皆、「ハイ。ハイ。」と頷いてくれるのだと助宇衛門 は力説。(今でいうパワハラ)
そして御自身をも例に出され、
『たとえ畳一畳でも我らが城郭。家に帰れば一家の主。かまど将軍にございまする。』
女房子供は無茶ぶりを言う亭主のことでも「ハイ、ハイ」と聞いていると…ご説明 (今でいうモラハラ )
『ハイ、ハイ』の際は少し高い声色をお使いどしたよ。
ここで再び、敷居を越えてこっちこんかと殿に誘われますが、断固拒否
『お大名さんの悪口くらいで (左眉が2回上がります) のこのこと敷居を跨いだら、貧乏というやつが無駄になりま~す!!』
台詞廻しキマってましたよ
『いや、まだまだ~!!』
「骨の太いやつじゃ~~ハハハ」
長い間により空気が変わり、いよいよ物語が佳境へと進みます。
助右衛門氏 は襟を直し袖を払い、
煙管セットを右側へ置かれましたよ。
静寂の中にそれが栄えており、まるで絵画の様どしたよ。
静寂の後、綱豊卿が吉良討ちを嗜める武士道の話をなさいます。
企みはないかと問われると、助右衛門氏 はお首をゆっくりと動かされ肩で息をなさい、俯かれました。
殿からの「志を阻止したくない」の際には、お手を握り拳になさいましたよ。
様々な心理が交差します。。。
「助右衛門解ったか?」に対し、分が悪そうに口をすぼめられ、『お暇人は色々お暇なお考えをなさる』と、まだ惚けられます。
「昨年12月、大石が江戸に下ってるのは何だ!!」で、殿が畳をバン!と叩き
助右衛門氏慌てられます
『あわわわ』と手を震わせ正座のまま後退り、御体制を客席側から殿側へと向き直され、確かに一時、吉良を討とうと色めいたが今はないと弁明。
忠義を捨てるのかと問われ、助右衛門氏 は、今の自分達(赤穂浪人)を桶に例えられお話されましたよ。
『棚があってこそ桶 (両手でジェスチャー) でございます。一つ棚がなければバラバラ。一枚に水を汲めとおっしゃってもそりゃ~~ (首を振られる) 無理なご注文でございましょう』
お声も良く通り非常に良い場面どす
しかしその言い分に殿は納得されません。
「思案を聞いてやりたい。
頭を下げてでもそち達の企てを聞きたいのだ。
助右衛門、まだ解らぬか。
俺のまなこを見よ!!そち達を信じたいのだ」
助宇衛門、殿の言葉に心揺らし、目を閉じ腕を震わせ歯をくいしばる。
頬を震わせ首をふり、目を閉じる…といった日もありました。
背景が夕暮れ時へと変化していきます。
殿から、大石内蔵助が遊興に耽るのは仇討ちの真意を隠す為にそのようなふりをしているのではないかと問われ、助右衛門氏 も綱豊卿に問いかえされます。
『六代将軍狙い、つくり阿呆のふりをなされているのではあるまいか!!』
お喜世が、何てことを!と、懐刀を手に切りかかりに行きますが、泣き崩れてしまいます…
辺りがよりほの暗くなってきました。
殿に、「その先を聞きたいのだ。言え。」と促され、肩を震わされた後『でや!』と肩切って、、
何やら御歌でも拝聴している様な感覚でございましたよ。。。
これを綴りながらも台詞が先生のお声で脳内再生されておりますよ~~
『ゆうげ三昧 、あ 、こ~~れ~~は~~』
『あなた様のお心は痛みはせぬかーーー』
畳にババンと手をつかれ、少し進む
『おぼしめされませぬかぁ〰〰〰〰』
かぁーは掠れさせたご発声
身体起こし手は腿上に。
『あるまいと存じ (腿を打つ) ま~す~る~』
助右衛門氏 は、大石内蔵助の真意は分からないと殿へ告げられ、ようやく殿も納得の模様。
そして助右衛門氏 に、近衛関白より浅野家再興の申し込みがあると告げ、仇討つなよと念押し。
『公方様に浅野家再興!?』
ここから
助右衛門氏 の
苦しい葛藤が始まります。。。
そこへ、奉公人が殿を呼びに御座所へ。
その際「吉良様はまだおみえでない」との話題が…
助右衛門氏 、それに反応なさい顔を上げられます。全く諦めておりません。。。
明日浅野家再興の話をすると言われ、ひどく動揺され、『あ、あ、あ、(日により漏らす声は変化していましたよ)』と、思わず敷居を踏まれます
「助、どうした?
」と、いけずな殿。ドS
いかんせん、気持ちがもう大爆発の助右衛門氏 は、
『あ、あ、(日により変化) も~~し~~ 敷居を越えまする~~』
で背を伸ばし、舞台中央にて起立している殿の足元までバタバタとやってきてお尻をつき出した様な正座で手をつかれ
『殿様 どうか浅野家再興の御内願の義は~~~』
で、殿を見上げられたまま肩震わせやりきれない涙
さらに『ぐぁーーー(日により変化)』と、畳に額をつけられ泣かれます。
殿は立ち去る前に「そちはわしに憎い口をききおったぞ」と、ドヤ顔
少し顔上げられ首をふり歯をくいしばられました。
綱豊卿は退出され、すっかり薄暗くなった御座所内には、泣き濡れる助右衛門氏 とお喜世の二人が。。
「兄さま… 助右衛門さま、、」
『お喜世殿、、、』
(中車先生 中央付近、壱太郎丈下手側)
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顎を上げ嘆かれているところへ、後方の廊下を「吉良様が来られた」と奉公人達が通り、ハッっと我にかえられると、素早く脇差を取りに行かれます。
ここからは、止める壱太郎丈と刀手に出て行こうとする
助右衛門氏 の悶着場面
実際には、
中車先生 より背丈の高い壱太郎丈どすが、さすがのお身体さばき
(?)により、小柄に錯覚させるのが凄おした
お喜世に、知恵は分別はないのか!と必死で食い下がられ、
『今となって分別もあるか!!』
『当然逃れれぬ命だ。浅野の為に死んでくれ〰〰〰〰 』
こんな可憐で若いお喜世が、男共の思惑により命を絶たないといけないなんて…と思うと涙出ましたよ。。。
この時、助右衛門氏 の左手指先とお喜世の右手指先同士が繋がっているのが印象的どした…
そしてお喜世は、吉良のある情報を伝えます。
今宵七つの刻(とき)より、吉良が、望月の後ジテとして出るので、その時がチャンスと。。
『お喜世殿、見事、見事その時の手引きをしてくださるか』
「覚悟いたしております…」
助右衛門氏 、左膝を立ててかがまれ刀持つ左手をその足に乗せられ、ぐっと凄まじい眼力でお喜世と分かち合う様に見つめ合われました。
そして暗転。
《第二幕 第四場 御浜御殿能舞台の背面》
今宵の宴、能舞台の裏側。
舞台セットは、下手側に望月用控え室の屋敷とその手前に植え込みがあり、上手側には家屋と桜の木が。
そして中央には一本の桜の木とその後方両サイドには赤燈籠が配置。
下手から槍刀を御手に、
助右衛門氏 が辺りを伺いながらご登場
下手屋敷の縁側下へ、横に寝そべる様な形で隠れられ様子を伺い、下よりの中央を回られ、下手端の植え込みへと隠れられました。
そこへ望月の面と衣装を纏った吉良が、出番の為に屋敷から出てきます。
その時、
助右衛門氏、切りかかりに飛び出してきます
乱れ毛の出ているかつらからも必死な雰囲気が伝わりよろしおした。
歌舞伎はほんま細やかおす。
吉良に槍先をかわされ柄を掴まれ、笛の音と能の掛け声の中、二人静止画。
絵になる演出で大変よろしおす
二人ゆっくり歩き舞台中央にて立回り。
桜が散る演出もあり
そして実は望月の正体、助右衛門氏 の行動を見越していた殿であり、それに驚いた助右衛門氏 の首根っこを掴み地面にひれ伏させ、お説法をなさいましたよ。。
ここからの仁左衛門丈の台詞廻しがとても良くて、毎回染み入りましたよ。。
「吉良の生首を浅野内匠頭に捧げれば恨みは晴れるのか?大石内蔵助が伏見、島原と遊び歩くのは、浅野家再興に心苦しみながら、誤って手から話した征矢の行方を眺めているのだ。内蔵助の哀しい心、寂しい心は察し得られるものではない。」
「吉良は寿命で死んでもよい。ほっとけ。あんな汚いゴマシオ頭の首など供えても何になる」
「わかったか~~」
『恐れ入りまする~~~』
そして、ここまでの行いに関し、罪を問わない殿に対し驚く助右衛門氏。
そしてラスト。
能の出番へと両腕を広げ上手そでへと歩いていく殿。
その背に助右衛門氏は
『上様~~』
と、客席に背を向けた正座状態からひれ伏されました。
7月6参戦
【 御浜御殿綱豊卿 】
完
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