煙管で学ぶイスラム教
煌びやかな屋敷の一番奥。
重そうな戸を開けた中に押し込められる。
気後れして…
オドオドと辺りを見回すと、目の前に派手な着物を着崩した女が座っていた。
「ご苦労さま」
その女の声に一緒に来た男衆が頭を下げて部屋を出て行く。
急に心細くなって。
後を追おうとしたら、隣の部屋から別の男が数名現れて、アッという間に身体を取り押さえられた。
「何をするっ…離せっ」
ムリヤリにまだ新しい畳に押しつけられて、バタバタと身を捩る。
「まだ自分の立場が解ってないようだねえ」
頭の上から聞こえてきた声に視線だけを上げると、いつの間にか側まで来ていた女が僕の顎に煙管の先を当てて、顔をクイと引き上げられた。
「お前はここに売られてきたんだよ」
「母上の元に…返してください」
「勤め上げれば戻れるかもねぇ」
「…僕は…男です」
「知ってるよ」
赤い紅を引いた女の唇がフフフと引き上がる。
「お前はいい遊女になるよ。最高級の花魁になるのも夢じゃあない。しっかり稼いでいい旦那を見つけるんだよ」
「何を言って…」
「今日は何もしなくていい。ゆっくり部屋で休んでな。お前達、この子の部屋に案内してやりな」
顎の下に当たってた煙管が外されて。
ヒラリと着物の裾を翻した女が元居た場所に優雅に座る。
「ほら、立て」
押さえつけられていた者達に腕を引き上げられて立たされて。
そのまま廊下を引きずるように連れて行かれた。
「ここがお前の部屋だ。勝手に出る事は許されない。飯もここに運ぶ。明日からは仕事の気構えややり方を1から叩き込むから覚悟しておくんだな」
荷物のように部屋に放り込まれて、倒れ込む。
「今日はゆっくりと休め。明日からは大変だぞ」
その者は気の毒そうにそう言うと…「何か用があるときはその紐を引けばいい」と部屋の隅に垂れ下がってる太い紐を指差した。
「あの…外に行きたい時は…」
「外には行けない…まあ暫く真面目に勤めればその内お許しが出るだろうけど」
黙ってしまった僕にその者は「夕飯が用意できたら持ってくる」とだけ言い置いて、部屋を出て行ってしまった。
その後は本当に誰も部屋に来なくて。
夕膳を持って下働きの女中がやってきたぐらいだった。
部屋の隅には布団が敷いてあって。
灯籠も油も準備してあった。
膳を下げに来た女中に「少し外を歩きたいのだが…」と訴えてみたけど、その女中はフルフルと首を振るだけで困ったように首を傾げる。
…やはり駄目か。
そう思って息を吐いて。
「ありがとう」と膳を下げてもらった。
その日は色々疲れてしまって…
母上に銭が渡ったのかどうかも確認できなかったから。
倒れるように敷かれている布団で…眠ってしまった。
煙管 うれしいを、つぎつぎと
嫌煙ムードが蔓延しています。税金も上がる。
わたしは嫌煙大歓迎です。だけどフェアじゃないと思います。
煙草税増税については、煙草を含め、アルコールやギャンブル、宝飾品など、生存に必要無い品物と宗教法人には、がっぽり課税していいと思っています(だから消費税とガソリン税は無くして欲しい)。
喫煙については、長い病院勤務経験で出会った方々の中に、
・仕事のストレスが高い病院勤務者に喫煙者が多いこと、
・心身が不自由になる程の難病を抱えて「煙草しか楽しみが無い」方がいること、
・両切りピースばかり吸っていた90歳以上の元気な方々がいること
を見て、
「喫煙はそんなに悪くないのでは?」と考えています。
そこで、喫煙は本当に良くないのか、どうしてわたしは嫌煙派なのか、考えをまとめました。
○喫煙による体の変化
まずは悪い変化から。
煙草はニコチンを含む薬物です。ニコチン以外にも体に有害な物質を含み、体細胞をDNAレベルから傷付けます。
特に煙草を燃焼させることによって発生するタールは、ネバネバした有毒な炭であり、タールが肺の内部の肺胞に付着することで肺機能を低下させます。
そして、煙草の煙に含まれる一酸化炭素が体細胞に必要な酸素の代わりに体のすみずみへ送られることで、体細胞の酸素欠乏を起こし、全身の活動性や代謝を低下させます。
良い変化もあります。
煙草の主成分であるニコチンは脳に直接働きかけて、脳内ホルモンのドーパミンの分泌を活性化します。
ドーパミンには心身を活性化させる働きがありますから、ニコチンを摂取することで少し気分が上がって落ち着きます。
これが「ちょっと一服」の効果です。
良くないのは、少し気分が上がる効果を脳が覚えてしまって、中毒になることです。
○喫煙に対する私見
煙草は中毒性が高く、吸い過ぎによって有害物質が肺機能や全身の細胞を傷付けることは、肺気腫と心疾患、糖尿などの代謝異常の原因になります。
しかし、仕事や人間関係、病気などのストレスが多い生活の中で、喫煙で少しでも気分を上げたいと思うのは当然ではないでしょうか。
適度な喫煙によって気分が上がりストレスが軽減されることは、ストレスが引き起こす病気から遠ざかることになるのではないか、それが喫煙者でも長寿である理由だと考えます。
○嫌煙される理由
嫌煙ムードは愛煙家に原因があります。
まず、喫煙者は全身や部屋に煙草独特の臭いがある。
愛煙家の家の子も煙草臭い。我が子が副流煙を吸って健康を害することに思い至らない。
そして勤務中に煙草を吸いに行く職員は、その分働いていないわけですから、チームに迷惑をかけています。(ブラック病院に勤めていたとき、看護師全員が煙草を吸いに行ってしまい、ナースコールが鳴っても気付かずに医療事故が起きていたことがありました)
道路や植え込みへの吸い殻のポイ捨て、灰を落す、ヤニで汚す行為は掃除する人に迷惑をかけることに思い至らない、自己中心的な行為です。
つまり、決まった時間に決められた場所で吸って片付けるという、当然のマナーを守れない愛煙家が、嫌煙家を増やしているのです。
電子煙草にもマナーは必要です。
○「煙草はそんなに悪いのか?」まとめ
適度な喫煙は適度なストレス解消につながると思います。
明治時代にシガレット(紙巻き煙草)が出る前、江戸時代の煙草は「ちょっと一服」できる時間に、少量を煙管に詰めて愉しむものでした。現代とは扱いが違い、来客へのおもてなしの品だったそうです。
愛煙家の方々は、愛する煙草を適切に愉しむ時間を持って、ご自身も周囲の人も気持ちよく過ごしてくださることを望みます。