煙管は人道主義を超えた!?
山岳地帯の女性民族を訪ねた
数日に1回に開かれる市場に民族衣装のまま20から30キロ歩いて買い物をする。
ホジン村は山頂にあり3〜4の集落がある。
時に数時間を歩いて山を登る。
アク族の女性は銀の装飾を施した帽子を被る。つい最近まで貨幣を飾っていた。
我々を快く迎えてくれる。
お歯黒にしたワンサイ村のエン族。衣装も習慣に習って黒を着ている。
山の峠で小さな民族の飾り物を売って生活にしていた。
家族は血族で皆んなが一つの高床式の藁屋に住む。
曽孫の赤ちゃんを背負っていた。
ワンサイ村のエン族。
チャイントから北に50キロ。細い急な坂道を登るとアク族の村に出る。
茅葺の集団家族村は美しい大自然の中にうもっていた。
黒の民族衣装で竹で作った煙管タバコを美味しそうに吸って見せた。
パウツ村のパラウン族は美しい織物を作っている。
色合いも美しく、刺繍も綺麗だ。
山頂に近い峠ではミノを背負って物々交換をすると言う。
頭の重さは3〜5キロもあると言う。
銀の装飾を黒の帽子で隠してる。
信仰心が強く、地元のナツを信仰しているが今は
キリスト教が多くなったとか?
煙管 好きだから、あげる。
来週には一迅社文庫アイリス6月刊が発売されます!!
ということで、本日から試し読みを実施します(〃∇〃)
試し読み第1弾は……
『お狐様の異類婚姻譚
元旦那様に求婚されているところです』
糸森 環:作 凪 かすみ:絵
★STORY★
「嫁いできてくれ、雪緒。……花の褥の上で、俺を旦那にしてくれ」
幼い日に神隠しにあい、もののけたちの世界で薬屋をしている雪緒の元に現れたのは、元夫の八尾の白狐・白月。突然たずねてきた彼は、雪緒に復縁を求めてきて――!? ええ!? 交際期間なしに結婚をして数ヶ月放置した後に、私、離縁されたはずなのですが……。
薬屋の少女と大妖の白狐の青年の異類婚姻ラブファンタジー。
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(着替えてしまった……)
気恥ずかしさで震えそうだ。つい魔が差した。頭には、梅の花をつけた大振りの髪飾り。襟巻きは明るめの梔子色、羽織りは緑、上の衣や袴も季節を先取りして春の色で揃え――けれども隣に座っている白月の衣の色と合うものにした。さらに言えばこっそりと飾り紐の形を同じにした。
(私のせいじゃない、すべては乙女心のなせる業なんだ、それだけだ……!)
火照りそうな頬を片手で押さえる。
車夫の狐は重さを感じさせない軽やかさで二人を乗せた車を引いている。なんらかの術でも仕掛けているのか、座面に腰かけてからは寒さをさほど感じなかった。
車はわずかに揺れながら下里の東方向へ向かう。
下里は、いわば城下町。里の者たちが暮らすところだ。里の要であるお屋城が立つ区域は、上里と呼ばれている。雪緒の『くすりや』は、下里にある盛り場の西の端。
盛り場とは、歓楽街のある地のことだ。上里から見て南の位置、平仮名の『ひ』の字型に米屋や煙管屋、水飴屋などの見世が並ぶ。といってもそう密集しているわけじゃない。
隣の見世まで距離があるし、ゆるく弧を描く太鼓橋も設けられている。ちなみに、この橋を渡らずとも隣の見世へは普通に徒歩で行ける。これは見世の『境界』を示すものなのだ。
盛り場の外側には田畑や民家が見られる。『ひ』の字の中心部分にはご神木やら広場やらがあって、決められた日に市が立つ。上里ほどではないが、下里にも五色の瑞雲が流れてくる。
「雪解けにはまだ日がかかるな」
白月が景色を眺めてつぶやく。雪の世界に、椿の花が色を与えている。
「雪緒の心も春までには解けるかなあ」
「白月様、本人が隣にいる状態でそれを口にしないでもらえませんか……」
「なぜ? 意識させるために言っているんだが」
白月がこちらに視線を向けて、指の節で雪緒の頬を撫でる。
(くっ……、甘やかして懐柔しようという魂胆か!)
そうはいくかと雪緒は白月の指を掴んだ。白月は狐耳を後ろにきゅっと倒すと、楽しそうに目を細めた。油断ならないお狐様だとわかっているのに、時々見せるふわっとした優しげな笑みに胸が疼いてしまう。
「雪緒って、俺の耳と尾が好きだろ。いつも目で追っている」
「そういうのも本人に確認を取らないでもらえませんかね!」
「恥じらう顔がかわいいんだ」
もうやだあこの狐ぇぇ! と雪緒は胸中で思い切り叫んだ。話題を変えないと、自分の身が羞恥で燃え尽きるかもしれない。
「そ、それで、どこへ行くんでしょうか」
「甘味処」
「甘い物がお好きなんですか?」
へえ、案外かわいいところもあるんだな、と感心する。……夫婦でいるときは、好みの食べ物さえ知らなかった。と、しんみりしたところで白月が瞳をきらめかせる。
「ううん、違うぞ。おまえ様に食べさせたいんだ」
「……えっ、私に?」
「うん」
白月が雪緒の指を掴み返す。驚く雪緒に微笑む。
「甘い物を食べると、心も甘くなると、腹心の楓が教えてくれたので」
「わあー……」
どうしてそれをここで言ってしまうかな。
「俺がこんなに優しいのは、まことに雪緒だけなんだ。特別を作るというのは、楽しいな」
そして一気に上げてくる、このお狐様すごい。
「あとな、拗ねた顔をして上目遣いで見つめられたら、口づけしていいときだって」
「誰ですか。誰がそんなろくでもないことを白月様に吹きこんだのですか」
「子狐ども。あいつら耳年増だ」
あんなにかわいいもふもふたちが俗世に染まっているなんて、知りたくなかった。
「雪緒、俺はいつでもいいぞ。口づけたかったら好きにしろ」
男前なの? 無防備なの? と聞きたくなる。
白月に散々からかわれるあいだに、車は二度、太鼓橋を越えた。
今日は日差しが比較的あたたかいせいか、通りに賑わいが見られる。盛り場の特徴として、椿の形の行灯が通りの至るところに設置されている。昼でも明かりがつけられ、それが赤、黄、青などと色とりどりに輝くので、年中祭りのような雰囲気だ。また、鯉のぼりもあちこちに設置されている。
おもしろいことに、竿から放たれてのんびりと宙を漂流する鯉がけっこういる。たまに海老や魚も飛んでいる。黄金の巨大な鯰、水で作られたような透き通った比目魚なども稀に見かける。あとは大小様々な風車が道沿いに立てられていたりもする。
野点傘の休息処も設けられており、春になればそこで里の者が談笑する姿が見られるようになる。運がよければ〈花影行列〉という、薄衣の裾を尾びれのように揺らめかせる美しい花姑たちの渡りを目にできる。そういう日は、里全体が甘い花の香りに包まれる。目撃した者には、小さな幸運がやってくるとも。
(――それにしても目立つ。ものすごく視線が突き刺さる)
盛り場を行き交う里の民が、わざわざ立ちどまって、車中の雪緒たちを凝視する。ただの薬屋にすぎない自分なんか本来注目されるわけがないのだが、隣にいる相手が悪い。おまけに白月は、雪緒に微笑みっぱなし。……恋人を愛でるような顔つきだ。
「困ったなあ、噂の上書きはできそうだが、こんなにかわいい雪緒を誰にも見せたくない」
「大丈夫ですか、目の疲れのせいで私の姿が歪んで見えていませんか」
「おまえ様は自分の価値を知らないな」
「知ってますよ、一介の薬屋ですよ」
「人の子って貴重なんだぞ」
「ああ、血肉食べたい的な意味で」
「ばか」
でも食べてほしいなら俺が食べる、と嬉しそうに答えられ、本気の食欲か冗談なのか迷う。
車が甘味処の前でとまった。白月の手を借りており
たとき、近くを通りかかった猫耳の若い娘たちと目が合った。何度か『くすりや』に来てくれたことがある女妖だ。
会釈すると、親しげな表情が返ってきたが、隣の白月に気づいてぎょっとしている。
「えっ? 白月様? ……えっ!?」
うん、気持ちはわかる。なんで元嫁と一緒に行動しているって話ですよね。私も謎だ。
白月は他者の目がまったく気にならないらしく、雪緒の手を引いて、瓦屋根の甘味処に足を向けた。雪緒も腹をくくることにした。
店内には毛氈を敷いた正方形の腰掛け台が六つほどあり、すべて客で埋まっていた。が、白月がにっこりすると、近くの台に座っていた狸耳の青年の集まりが自主的に立ち上がった。譲ってくれたというか、なんというか。
「ほら、雪緒も座れ」
白月は遠慮なく台に腰かけると、自分の隣をぽんぽんと叩いた。視線がこちらに集中している。入り口ののれんの隙間からもそっと覗く者たちがいる。
(……視線が矢のようだ)
雪緒がぎくしゃくと隣に腰かけた直後、見世の主自ら、茶と菓子の載った盆をしずしずと掲げて近づいてきた。たぶんこの見世で一番の高級菓子に違いなかった。複雑な花の形をした羊羹に団子、落雁だ。お茶だって、器からして違う。金箔が散っているくらいだ。普段、客に出すのは抹茶色の湯呑みである。
「俺が食べさせてやる」
白月が桃色の団子を取って雪緒の口に近づけた。当然雪緒は引いた。観衆の中でなにをするつもりなんだろう、このお狐様。
「いえ、けっこうです」
「いいから、口を開けて。……なんだか新婚みたいじゃないか。楽しいな」
こんなに嬉しそうな表情さえ向けられなければ、最後まで突っぱねられたのに。
雪緒は火の中で溶ける氷より早く屈した。唇に押しつけられた団子を口内に入れる。
(美味しいのか甘いのか苦いのかからいのか、味がよくわからない!)
また食べさせられる前に、自分で菓子を積極的につまむことにする。
お願いだから皆、「あれ白月様だ、珍しい」「雪緒様も一緒だ」「お揃いの恰好をしてる」「仲がよろしいようで」などと好奇心丸出しで囁くのはやめてほしい。だいたいなんで雪緒の名まで皆に知られているのか、さっぱり理解できない。
もしかして平凡な人間の小娘が離縁後もまだ御館様につきまとっているのか、許せん、という義憤を感じているんだろうか。違いますよ、そんなんじゃないですよ、という罪なき表情を雪緒はできる限り浮かべることにした。
「たまにはこういうところに来るのもいいな。雪緒はよく訪れるのか?」
白月が興味深げに店内を見回す。
「はい……、いえ。以前は、設楽の翁とよく食べに来たんですが、今は」
一人で来たって、楽しくない。すっかり足が遠ざかっていたことを思い出す。
「じゃあ今度からは俺と来よう」
包みこむような眼差しを向けられ、雪緒は俯いた。あまり優しくしないでほしい。そんな寂しい感情が胸をよぎる。でも、復縁なんてしないんだから、本当に優しくされる理由なんてないのだ。
干菓子を食べるうち、口内がぱさぱさになった。それでお茶を飲もうとしたときだ。
ふいに白月が顔を寄せてきた。驚く間もなく、頬に軽く唇を押し当てられる。
「かわいいから、頬に口づけしてしまった」
白月が悪戯でも成功したような顔で笑った。きゃあ、と声を上げたのはのれんの隙間からしっかり覗いていた猫耳の娘たちだ。たぶん自分の心臓も、少しのあいだとまった。
だめだ、感触とか思い出しちゃ。きっと白昼夢だ。そうに違いない。
「雪緒も俺にする?」
問われて、雪緒は静かに茶の器を自分の横に置いた。
それから、できるわけないでしょー!? と叫び、しばらく両手で顔を覆った。もう二度とここにはこられない!
~~~~~~~~(続きは本編へ)~~~~~~~~
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