煙管 発見。
三代目古今亭志ん朝 – 芝浜
芝浜
『芝浜』(芝濱、しばはま)は古典落語の演目の一つ。三遊亭圓朝の作とされるが不確か。3代目桂三木助の改作が有名。三木助による名演以降、夫婦の愛情を暖かく描いた屈指の人情噺として知られるようになった。大晦日に演じられることが多い。また、5代目三遊亭圓楽が生前最後に演じた演目でも知られる。
演目名となった芝浜とは、もともと江戸時代の入間川(現在は全国で2番めに短い国道130号線)を挟んだ東海道の芝橋(現在は芝四丁目交差点)から薩摩藩邸までの間にあった海岸の網干場だったところで、現在の港区芝4丁目の第一京浜の南側にあたる(後述を参照)。
目次
1 物語のあらすじ
2 成立
3 芝浜の描写
3.1 女房の造形
3.2 地名としての芝浜
4 別媒体化・ベース作品
4.1 映画化作品
4.2 映画への翻案
4.3 新作落語
4.4 ラジオドラマ作品
4.5 テレビドラマへの翻案
4.6 楽曲化作品
4.7 舞台
4.8 舞台への翻案
4.9 その他
5 脚注
6 外部リンク
物語のあらすじ
天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲みすぎて失敗が続き、さっぱりうだつが上がらない、裏長屋の貧乏暮らし。その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら芝の魚市場に仕入れに向かう。しかし時間が早過ぎたため市場はまだ開いていない。誰もいない美しい夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つける。拾って開けると、中には目をむくような大金[1]。有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。
翌日、二日酔いで起き出した勝に女房、こんなに呑んで支払いをどうする気かとおかんむり。勝は拾った財布の金のことを訴えるが、女房は、そんなものは知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれの夢に見たんだろと言う。焦った勝は家中を引っ繰り返して財布を探すが、どこにも無い。彼は愕然として、ついに財布の件を夢と諦める。つくづく身の上を考えなおした勝は、これじゃいけねえと一念発起、断酒して死にもの狂いに働きはじめる。
懸命に働いた末、三年後には表通りにいっぱしの店を構えることが出来、生活も安定し、身代も増えた。そしてその年の大晦日の晩のことである。勝は妻に対して献身をねぎらい、頭を下げる。すると女房は、三年前の財布の件について告白をはじめ、真相を勝に話した。
あの日、勝から拾った大金を見せられた妻は困惑した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死刑だ。長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝に財布の金が下げ渡されたのであった。
事実を知り、例の財布を見せられた勝はしかし妻を責めることはなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置く。「よそう。また夢になるといけねえ」
成立
三遊亭圓朝の三題噺が原作。三題噺とは、寄席で客から三つのお題を貰い、それらを絡めて、その場で作る即興の落語である。ある日のテーマが、「酔漢」と「財布」と「芝浜」だった。(3代目桂三木助は「三遊亭圓朝が作った『笹飾り』『増上寺の鐘』『革財布』の三題噺」と噺していた)。ここから生まれた三題噺がベースとなって、その後本作が成立したとされているが、『圓朝全集』に収録されていないことや圓朝以前に類似の物語があることから、この説を疑問とする声もある。現在のものとはストーリーも異なっていたという説もある。川戸貞吉は、8代目林家正蔵からの聞き書きとして、「昔の『芝浜』は、男が財布を拾った後、長屋の連中が財布を拾ってめでたいってんで、みんなで歌を歌って騒ぐだけの話で、軽い話だったよ」と述べているが、8代目正蔵が生まれる以前に口演速記された落語本ではすでに現在と同じ人情噺になっている[2]。少なくとも19世紀中には「芝浜」として演じられた記録がある。
三田村鳶魚は1924年(大正14年)の著書の中で、魚市場の成立年から、享保時代の出来事を寛政以後に落語に仕立てたと見ている。松崎尭臣が享保9年に書いた「窓のすさみ」の中に、大金を届けた正直者の芝浦の魚売りの話があり、これを落語にする際に、当時中沢道二の道話が流行していたことから、心学の訓話を織り込み、妻と酔っぱらいを加えて高座に上げやすくしたのたろう、と述べている[3]。
戦後、3代目桂三木助が安藤鶴夫ら、作家や学者の意見を取り入れて改作、十八番としたのが現在広く演じられているストーリーの基礎とされる。彼の存命中は他の噺家は遠慮したほどであるが、現在では7代目立川談志をはじめ多くの落語家が演じている。噺のヤマが大晦日であることから、年の暮れに演じられることが多い。なお、上方では場所を住吉の浜に置き換えて、「夢の革財布」という演題で演じられている。
1903年初演の歌舞伎世話物狂言『芝浜の革財布』(しばはまのかわざいふ)は、本作が原作である。
芝浜の描写
『芝浜』を演じた噺家は多いが、「芝浜の三木助」と謳われた3代目桂三木助が1950年代に演じたバージョンは特に高名である。
この演出には、落語評論家として知られ3代目桂三木助と親しかった作家の安藤鶴夫がブレーンとして携わったと言われている。読売新聞連載記事「名作聞書」には3代目桂三木助の「芝浜」が注釈つきで収録されている。
3代目桂三木助の「芝浜」の魅力は二つある。ひとつは絵画のように情景を写し出す描写力である。三木助は「落語とは何か」と問われて、「落語とは絵だ」と答えている。つまり、演者が丁寧に描写する絵(映像)を、聴き手に鮮明に見せる事こそが重要だ、と主張したのである。
彼の理論に従えば、魚屋が市場にやってきた場面に於いて、夜が明けて朝日に照らされた真白い浜、静かに揺れる穏やかな波、周囲に建物も何も無い美しい芝浜を聴き手に見せる事ができるか否か
が本作の真髄であり醍醐味と言うことになる。『芝浜』と言う題名ながら、実際に芝浜が描かれるのはこの場面だけであり、非常に重要な見せ場と言えよう。
これには極めて高レベルの実力が噺家にも聴き手にも要求される。
3代目桂三木助は、暉峻康隆の助言により、冒頭に「明ぼのや しら魚しろきこと一寸(いっすん)」という句を挟むという独自演出をした。松尾芭蕉の句である。しかも、芭蕉の名を出さず、「翁の句に」といったのである。
これらの風景描写は前述のようにファンには喜ばれたが、古典落語の範囲を逸脱していることから、落語業界内でも賛否がある。古今亭志ん生は「長々(風景描写を)やっちゃあ、夢にならねえ」との持論で、財布を拾う描写を行わずに演じていた。
三木助に対しては概ね好意的である7代目立川談志も「三木助さんの芝浜は好き嫌いでいえば嫌でした。安藤鶴夫みたいなヤツのことを聞いて、変に文学的にしようとしている嫌らしさがある」「芭蕉と言わずに翁の句という」と批評している。(いずれもバンブームック1 立川談志「芝浜」より)
五街道雲助は三木助の芝浜について、「たかが噺にそこまでと云う反論もありましたし、私も文芸的にと云うのは好きではないのですが、この噺だけはそうした味付けが有ってもよかろうと云う考えです。つまり、そうしたい気にさせる何かが有る噺なんですね。誰しもがそう思うようで、この噺ほど演る人によって持っていき方や工夫の違う噺もありません。それだけに演者の噺に対する姿勢や感覚を試されて、恐い噺なのかも知れません。」と記している。
物語は、実力がありながら仕事に身を入れず、酒でいったん身を持ち崩した男が、一念発起し仕事に身を入れて見事に立ち直る、というストーリーとなっている。これは3代目桂三木助の実像とオーバーラップする。三木助個人に対して思い入れがあればある程、本作で感動することになる。もっとも3代目桂三木助の場合は酒でなく、博打である。
3代目三木助はこの演目で、1954年の文部省芸術祭奨励賞を受賞した。
なお、3代目桂三木助の実演はCD(レコード)の形で複数遺されているが、「録音に残っているものは短縮型の不充分な口演で、(録音を前提としない)実演は数段上であったように思う」という評がある(京須偕充『芝居と寄席と』)。本作・芝浜は長時間を要する話だが、ラジオ番組には時間の制約がある。3代目桂三木助はNHKの専属落語家だった。[要出典]残されている録音の多くはラジオ放送用の収録をもとにしたものだった。
女房の造形
「実は大金を拾ったのは現実だった。あたしが嘘をついた」と、最後に衝撃の告白をする女房。この女房をどのような人物として造形するか、これも重要である。
自堕落な亭主を見事に更生させる、立派な女房として描かれる場合がほとんどである。それを聴き手は「実に偉い女房だ」「これこそ文句無しに素晴らしい夫婦愛だ」と賞賛する。しかし、この演出法に対しては、「わざわざ更生させるために嘘をついてやったのだ、と言わんばかりで、その偉ぶり具合が鼻につく」として嫌う意見もある。
これとは正反対に7代目立川談志の型では、告白の時に「騙して申し訳ない」と心から謝罪して涙を流す、偉ぶらない女房として造形する。反骨家の談志らしいアンチテーゼといえる。談志は三木助版を意識し、風景描写さえもなくすような演出を行ったこともある。
3代目柳家権太楼は一時期、亭主が激怒のあまり釈明を終えた女房を容赦なく殴打するという演出を行い、物議を醸したことがある。
地名としての芝浜
芝浜は現在の東京都港区芝4丁目の第一京浜の南側にあたる地域にあった海岸線である。江戸から品川へかけての海は「袖ヶ浦」の呼称があり、この芝付近の陸側を芝浜、海上を芝浦と呼んでいた。
徳川家康が入府した頃は、漁民は芝に7人、金杉に4人という寒漁村だった。南側は薩摩藩邸に接し、本芝浦と金杉浦へかけ江戸時代には「沙濱」とも呼ばれる干網場となっていたが、江戸湊で家康の御座船が座礁したのをこの漁民が助け、褒美として家康から日本中のどこでも魚を獲ってもよいという許しを得たという[4]。ここで荷揚げされた魚は将軍家にも上納されて御菜浦の1つにもなり、「御用撰残魚売捌所」という東海道筋の市は「雑魚場(ざこば)」の愛称で呼ばれていた。明治になり、汐留から横浜に通された鉄道はこの付近では海上に突堤に線路が敷かれて浜や河岸は保存された。周辺は昭和の東京オリンピック以降に埋め立てが加速度的に進むが、新芝運河につながるこの入り堀はそれ以降も残されて漁船が係留され、入り堀を跨ぐJRの架橋は「雑魚場架道橋」とも呼ばれていた。1968年頃に入り堀は廃され、入り堀跡は港区立本芝公園に、現在のJRの架道橋下は遊歩道になっている。
当地に当初から唯一残るのは本芝の産土神としてある御穂鹿島神社のみになってしまうが、昭和53年に当地に住んでいた福岡仙松の流れを汲む芝浜囃子の復活から20周年を記念した「芝濱囃子の碑」が建てられ、碑銘を笑点の題字でもしられる橘右近が刻んだ。芝浜を演じる落語家をはじめ、失われゆく風景を描写するものとして、落語ファンを喜ばせた。
なお現在芝浦付近ではJR山手線・京浜東北線の新駅の建設工事中であり、一部の住民からは駅名を本作にちなんだ「芝浜」にして欲しいという声も上がっている[5]。
別媒体化・ベース作品
映画化作品
白黒・サイレント映画
『芝浜の革財布』 : 主演木下吉之助、吉沢商店、1910年
『芝浜革財布』 : 主演・監督不詳、日活、1921年
『夢の芝浜』 : 主演上田五万楽、監督水野正平、マキノ・プロダクション、1926年
『芝浜の革財布』 : 主演谷幹一、監督久見田喬二、日活、1933年
白黒・トーキー映画
『芝浜の革財布』 : 主演田村邦男、監督根岸東一郎・マキノ正博、マキノトーキー製作所、1936年
映画への翻案
『明烏』(2015年)
新作落語
『SHIBAHAMA』 – 林家たい平による新作落語の演目。『芝浜』の現代版で、同じサゲに異なる意味合いを持たせている。
ラジオドラマ作品
『芝浜』 – 風間杜夫、石田ひかり主演。村上大樹脚本。アドバイザーは林家たい平。文化放送企画・製作。2006年12月15日、文化放送新社屋メディアプラスホールにて公開生放送・生ドラマを行った。
テレビドラマへの翻案
『熱中時代2』(1981年) – 第28話「熱中先生と三千万円の宝くじ」(脚本:布施博一)
『大岡越前』第7部(1983年) – 第5話「夢で拾った五十両」(脚本:大西信行)
『大岡越前3』(2016年) – 第5話「夢で拾った革財布」(脚本:大西信行)
『タイガー&
ラゴン』(2005年) – 第1話「芝浜」(脚本:宮藤官九郎)
『一休さん』(1978年) – 第103話「雪だるまと拾ったさいふ」(脚本:田代淳二)
楽曲化作品
『芝浜ゆらゆら』 – 林家たい平とマシコタツロウによる企画で完成した曲。ただし、『SHIBAHAMA』にベースの重点が置かれている。
舞台
下町ダニーローズ第16回公演『演劇らくご 芝浜』(2014年)
舞台への翻案
劇団ブラボーカンパニー『明烏 -akegarasu-』(2011年、2015年)
その他
浅草オペラの創始者、高木徳子が夫とアメリカに滞在していた1910年代に、『又夢になると困る』と題して一幕三場の芝居として演じた[6]。
お江戸でござるでは、若干のアレンジと創作を加えた『潮干狩りは三文の得』という作品が作られた。
テレビアニメ「昭和元禄落語心中」の第12話で助六が温泉旅館で演じた。
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この町にたどり着いたあの日
頭と顎で知り合いになった男は
今まであった中で一番のお人好しで
「行くとこはねぇ」と
聞かれて小さく答えた俺を
無理やり自分の店に連れていき
腹減ってんじゃね?
なんだよ
また拾ってきたのか?
うひひ
うひひじゃねぇわ
っつかずいぶん汚れてんな?
・・・まぁ・・・
ちょっとこいよ
裏に井戸があるからさっぱりしろよ
さすがにそのまんまじゃ
風呂屋にゃいけねぇし
苦虫をかみつぶしたような顔で
ぶつぶつと言うくせに気を配って
井戸に案内してくれる小柄な男と
にこにこと笑いながら
暖かい飯を食わしてくれた男
始めた会った俺に
信じられないくらい良くしてくれる
そんな二人の世話になって
住処をみつけて・・・
仕事を見つけて・・・
あれから数か月・・・
ようやくこの町にも慣れてきて
仕事終わりに立ち寄った花柳街
へぇ~そうなんだねぇ~
なんだよ?そんな珍しい話か?
あいつらここじゃ有名だろ?
有名だけどね?
なかなか謎が多いんだよ?
ふふっ・・・そうなのか?
そうだよ・・・お兄さんを含めてね?
はぁ?俺?・・・って、おいっ
煙管片手に
窓から入る夜風にあたりながら
なじみの太夫に求められるまま話した
俺とあいつらの出会った時の話
今のご時世
どこにでも転がってそうな話なのに
目をきらきらさせながら聞いていた太夫は
ゆっくりと体をおこして
俺の煙管を奪った
ふぅ・・・
そうさ・・・うふふ・・・
どこからかひょっこり現れて
あのいい男たちにすぐに認められて
今じゃすっかり
十年来の友みたいじゃないか
ふふっ・・・そうだな
ありがてぇことだ
いい男が揃いも揃って謎を抱えてさ
いやらしいったら・・・
なんだよそれ・・・ふふっ・・・
そんなことよ・・・り・・・
目の前で妖しく笑う太夫の色気に
もう一度・・・と欲が出て手をのばした時
ふっと視界に入ってきた姿に
時間が止まった
&
nbsp;
煙管美しい時代へ
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ら君だ..銀時…
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まあやっぱりタバコに落ち着くんだけどね