最速ゾンビ研究会
第29章 …予知夢…?
俺は、うたた寝をしていた…
この頃、熟睡していない事がわかる。
それは、意識とは裏腹に、おかしな夢をよく見る…
俺が、途轍も無い不安と恐怖が込み上げる訳は…
よく見る、おかしな夢が原因だと思われる?
その夢は…
得体の知れない化け物が…
街を徘徊し…
人々を襲い…
喰い殺す…
俺はその光景を眺めながら、気の焦りを感じている…
「なんとかしないと…」
「なんとかしなくては…」
俺は、そんな言葉を繰り返し…
ただ、その光景を眺めてた!
俺の心中は、希望的感情がまったくなくなっていた。
徘徊する化け物は、何人いるだろうか?
あるものは、頭部にかじりつき…
あるものは、腹部に噛みつき…
おびただしい血液と体内からの臓物を…
化け物は、喰い散らし…
襲われた人から断末魔が聞こえ…
地獄絵となっていた!
それは、まるで…
2010年にテレビドラマとして、注目を集めていた…
「ウォーキングデッド」である。
ゾンビドラマとしてシリーズ化され大ヒットした作品だ…
古い作品であったが…
親父からドラマの内容を聞き…
観ていた…
もう、20年も前の事であるが…
それが、今…夢に現れるのか…?
俺は、予知夢とは思いたくは無いが、この夢を観るたび…
全身の寒気により毛孔から、生気が抜き取られる…
錯覚に陥っていた!
不思議な事に…
この夢は、この島…直和県に来た時から毎晩、見るようになっていた。
ヤンピーが直和ホテルに到着したのは、13時を回ったところだった…
俺は、山田に頼んでヤンピーのインタビューをお願いしていて…
山田は、直和ホテル社長の丸山 誠に事前にお伺いを立てて…
そして…
丸山社長からヤンピーへインタビューしたい事を伝えてもらい…
了解が得られていた。
ヤンピーへのインタビューまで、まだ時間ある…
インタビューの内容として…
今後「ヤンケル」として、新しい世代若者は大きなマーケティングになる事から…
まず、若者が望んでいる…
サプリ的なニーズを訊き、和みを入れてから…
確信である…
「スピリチュアル剤」「SPi」の理解と認識…服用義務化の推進理由などをインタビューする事など…
岡田、山田に理解を得て…
進める事にした。
そこで、インタビューはヤンピーからの要望で…
とりまきも同行するインタビューとなった…
その経緯は…
ヤンピーと、とりまきは一心同体である事を…
直和ホテル 丸山社長は、強調していた…
そして、ヤンピー達のインタビューが始まった…
今、ゾンビ関連株を買わないヤツは低能
『恐怖!馬面男』
[開演前のアナウンス]
観覧回は、岡田直子さんがアナウンスを担当。
タイトルコール・演者紹介等、
紙に書かれているであろう内容を至極、真面目に読み上げられていましたが、
岡田さんの声優ネタで見られるような、過剰に綺麗な女性アナウンサー声を作っていて、
声の主が分かる人には、ニヤニヤできる時間になっていました。
[セット紹介]
洋風の『花月ホテル』のロビー。
⒈
舞台下手袖・手前側に、ホテル入り口への通路。
舞台下手袖・奥側に、通用口。
舞台中央奥上手寄りに、客室への通路。
舞台中央奥下手寄りに、森の見える大きな窓。
舞台上手袖に、スイートルーム・レストラン・事務室等への通路。
⒉
舞台中央に、椅子と膝の位置ほどのテーブル。
舞台上手奥に、フロント。
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は洋風ホテル『花月ホテル』のロビー。
徹郎(新名徹郎)、早苗(金原早苗)、二人の娘で小学生のライラ(川筋ライラ)、
家族三人がホテルに宿泊しに来た。
徹「着いたなー!
」早「素敵なところねー!」
ラ「広いホテルー!」
徹郎が(舞台中央に居る)ライラに対し、優しい口調で、
徹「ライラの10歳の誕生日、レストランで祝ってあげるね
⑵
徹郎が早苗だけをホテル入り口に呼び寄せ
ライラに聞こえないように、
徹「ホテルのホラーイベント、事前に予約したけど、喜んでくれるといいな」
早「そうね」
ライラが徹郎と早苗に、
ラ「お父さん、お母さん、どうしたの?
徹「…なんでもないんや」
⑶
♪いかにも恐ろしげな洋風ホラーの曲が流れる
曲に合わせて、ホテルの照明が薄暗くなる。
予約客向けに行われているホラーイベントが始まったよう。
舞台下手寄り奥の大きな窓の外に、
ゾンビのお面を被ったホテルスタッフ・安尾(安尾信乃助)が現れる。
徹「うわーっ!ゾンビが来たーっ!」
娘のために大袈裟に驚く、徹郎。
安尾は窓からロビーに入って来ようとする。
徹「入ってくるぞっ!」
…が、窓が閉まっていて、安尾は入ることができない。
頭を抱える、安尾。
徹「…えっ?」
⑷
舞台中央奥の客室への通路から、
ゾンビのお面を被ったホテルスタッフ・松浦(松浦真也)が現れる。
松浦はギターを抱えている。
徹「うわっ、ゾンビが出てきたーっ!」
⑸
松浦は窓に近寄り、安尾がロビーに入って来られるよう、鍵を開ける。
安尾が入ってこようと窓から片足を入れるが、
ロビーの床に足が届かず、入ることができない。
徹「無理矢理にでも入ってこいや!」
松浦が窓の前で四つん這いになり、即席の補助台になる。
松浦の背中に足を乗せ、何とかロビーに入ってくる、安尾。
安尾は丁寧に窓の鍵を閉める。
徹「ちゃんとせんでええから!」
安尾と松浦は、特にライラを驚かせるでもなく、
そのまま中央奥通路に消えていった。
⑹
今度は、和風のおばけ屋敷で良く聞かれる、古典的な効果音が流れる。
徹「…雰囲気、変わったな」
フロントに薄明かりが灯る。
白装束に三角の頭飾りを着け、『お菊』に扮したホテルスタッフ・森田(森田まりこ)が
フロント下から体を起こす。
森「一枚…」
森「二枚…」
徹「番町皿屋敷!?…古ない?(苦笑)」
森「八枚…」
森「九枚…」
森「十枚…」
徹「十枚あったら、あかんから!」
森田が奥に消える。
呆れる、徹郎と早苗。
一方、娘のライラは、ホラーイベントを終始、冷静に見ていた。
⑴
娘に喜んでもらおうと予約したにもかかわらず、
あまりにもお粗末なものを見せられ、怒る、徹郎。
徹郎がホラーイベント担当のホテルスタッフに対し、
徹「全員、出てこい!
森田が現れる。
安尾・松浦もゾンビマスクのまま現れる。
徹「ちゃんとやれよ!」
安尾・松浦はゾンビマスクのまま、無言で謝る。
徹「マスク、取れ!」
安尾・松浦がマスクを取り、素顔を見せる。
⑵
徹「なんや、この内容!」
安尾が応対する。
安「申し訳ありませんでしたか?」
安「もしかして、怒ってます」
安「私、従業員の安尾という者ですか?」
等、『か?』の使い方が不適当で、その都度、徹郎が指導する。
安「許してください!コウノトリです!…いやこの通りです!」
早「さっきから、ふざけてるんですか!」
⑶
徹郎夫婦を和まそうと、松浦が曲を弾くという。
松「ウェルカムソングです!」
松「♪お子さん めちゃめちゃ可愛い」
松「♪奥さん めちゃめちゃ可愛い」
松「♪旦那は めちゃめちゃ…鼻デカい!」
徹「ええ加減にせえよっ!」
徹郎と松浦が掴み合いになる。
安尾と森田では、掴み合いを止められない様子。
⑷
早苗が慌てて奥に呼び掛けると、
フロント責任者の吉田(吉田裕)が現れる。
吉「松浦、お客様に何をしとんや!」
吉田が二人の間に入る。
吉「申し訳ございません!三人は新人なもので…」
徹「ホラーイベント、滅茶苦茶でしたよ!」
早「全く怖くないです!どこがホラーイベントなんですか!?」
吉「すみません」
⑸
徹郎が吉田を見て、
徹「お宅もふざけてます?」
徹「覆面を取りなさい!」
吉「えっ?」
徹「『えっ?』やない!馬の覆面や!」
徹郎が吉田の覆面を剥がしに掛かり、そのうち、素顔であることに気づく。
徹「えーっ!!」
徹郎は恐怖し、後退りする。
⑹
覆面を剥がせない徹郎を見て、
早「あなた、何やってるのよ?(苦笑)」
と、早苗が吉田の覆面を剥がしに掛かる。
当然、剥がれず、
早「えーっ!!」
早「覆面じゃない!」
徹「馬のバケモノーッ!!」
徹郎と早苗が悲鳴を上げ、ホテルから逃げ去っていった。
⑺
一人残されたライラが吉田に、
ラ「両親は信じやすくて…すみませんでした」
ライラは両親の非礼を詫び、歩いて帰っていった。
吉「…子供が一番冷静やないか」
その3に続く
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