ゾンビ どうして大人は空を飛べないの?
先週の中程頃から、各局の情報番組『めざましテレビ』『ZIP!』。また『スッキリ』では約15分もの特集を組んで放送するなど、当初都内のたった2館からスタートした上映館で毎上映回満席が続き、その後、上映館が全国で8館に増えたのですが、SNSで人気に火が付き、爆発的なヒットとなって、製作のENBUゼミナール単独配給だったのが、大手配給会社のアスミック・エースと共同配給となり、あっという間に、このインディーズ系ゾンビ映画『カメラを止めるな!』の感染の勢いは全国に波及し、遂には、拡大上映予定館数も現時点で全国で100館を越えるまでに。
この上映館の規模拡大で少しは現在の上映館8館の客足が鈍ると思っていたら、TVの情報番組でも次々と採り上げられるからか、少しでも早く観に行きたい映画ファンの心理により毎上映回満席完売が更に続くと言った異常な事態に。
特に、関西・近畿圏では、現状、唯一上映しているのがイオンシネマ京都桂川のみという理由もある上に、座席数が100席未満のスクリーンでの上映という事を背景に、チケット入手が非常に困難を極めて、チケットの転売屋も出没する始末。
そんな中、私には珍しくe席リザーブでチケットのネット予約をして、今回は、80歳過ぎの父親を連れて一緒に爆笑するべく、私にとっては2回目の『カメラを止めるな!』の鑑賞に行って来ました。
小さな子供連れの親子でさえ案外平気で観に来ている中、私の父親には血飛沫ドバーッ系のゾンビ映画に耐性がなかったからか、前段のゾンビ映画の描写で気分が悪くなったらしく、中盤になるまでうつむき加減で鑑賞。その後、面白くなって行く過程で、ばつが悪いせいか、ようやく遠慮がちにクスクスと笑っていました(笑)。
ですので、それまでは、この作品は観る人を選ばない<万人受けする映画>と思っていましたが、ゾンビ映画に対する耐性があまりにもない人や、或いは、揺れ動くカメラワークにカメラ酔いし易い人には不向きな点もある事も理解出来ましたので、そう言った御方々には注意が必要な映画かも知れないですね(汗)。
2回目を観た感想としましては、私は、伏線回収の妙に感嘆し、ただただ爆笑するばかりでした(爆)。
それと、観た人にだけにしかわからないネタとして、無性に『シャイニング』のTシャツを着たくなるのに加えて、『タクシードライバー』のTシャツと『スカーフェイス』のTシャツも着たくなるのが分かったりと、今回の鑑賞で、出演者の衣装に至るまで細かい演出の拘りにも感動!
また、EDロール後に、あまりの面白さにたまらず私が拍手を送ると、私とほぼ同時期に拍手をされている人も居られて嬉しかったのですが、どうやら昨日のお昼の同じ上映回に、なんと奇遇にも、滋賀県長浜市出身の上田慎一郎監督のご両親も鑑賞に来てられていたと、上田慎一郎監督がTweetをなされていたので、もしや監督のご両親もご一緒に拍手を送られていたのかも知れないですね(^^)v
また昨日は、上田慎一郎監督のお父様が初めて上田監督の映画を鑑賞された記念日になったらしく(お母様は3回目との事)、その様な時に、偶然にもご一緒の上映回で観る事が出来て、何だか嬉しかったですね!
現在、全国上映予定館100館を越え感染拡大中!
◎映画『カメラを止めるな!』劇場一覧:
→
近畿圏では、以下の通り。
こちら京都府ならびに滋賀県では、いち早く、滋賀県大津市の浜大津港の傍の大津アレックスシネマさんがお盆明けの8月17日(金)から上映開始して下さるのが非常に有り難いですね!
そして、夏の新作映画が目白押しな時期にあって、イオンシネマ京都桂川さんも、8月3日(金)からは、1日1回の夜の上映については、イオンシネマ京都桂川が誇る、369席の最大規模の音響設備が自慢のULTIRAスクリーンでの上映を決定されるという大英断を下される事になりました。
「観たくても、毎回チケットが完売で観られないよ!」とお嘆き続きだった関西・近畿圏の映画ファンの御方々も、是非この機会にご覧下さればと思います♪
#イオンシネマ京都桂川 で『#カメラを止めるな!』2回目鑑賞。今回は、80歳過ぎの父親と一緒に鑑賞しましたが、前段のゾンビの描写で父親は気分が悪くなったのか下を向いていましたが、後半からは気を取り直して、そこそこ笑っていました^^… https://t.co/yCb2asqMZT
『#カメラを止めるな !』2回目鑑賞②。小さな子供連れの親子も沢山観に来ている中、たかがゾンビ描写に気分が悪くなって下を向いていたのが体裁が悪いのか、80歳過ぎの父親は笑うのも控え目でした(笑)。私がEDロール後に我慢出来ずに拍手… https://t.co/aMvCVMnBTi
『#カメラを止めるな !』2回目鑑賞③。#イオンシネマ京都桂川 で唯一のお昼の上映回に座席予約して鑑賞。上田監督のTweetを見ますと、なんと滋賀県長浜市出身の上田慎一郎監督のご両親も同じ回で鑑賞してられたみたいですね!道理で私以… https://t.co/L4T4UPFwpA
今日、両親が京都で「カメラを止めるな!」を観て来たそうだ(母は3回目)。昨日親父からメールが来てた。「お母さんは話題になるずっと前から田舎町でこの映画のビラを配っていた。東京の知り合いにお知らせ下さい、と。お母さんを喜ばせてくれてありがとう」ちょっとだけ泣いた。ちょっとだけな!!
親父のメール、最後はこう締めくくられていた。「お母さんには今友達からの連絡が止まらない。お母さんのLINEを止めるな! 父」
やったー!ついについに上映決定っっっ! 映画愛溢れる37分ワンシーンワンカットのゾンビ映画!を、撮ったやつらの話! 8/17(金)「カメラを止めるな」 これまた支配人が熱烈すぎるラブコール。こういう映画を上映せなあかんねんって!滋… https://t.co/R6rCNWQyvH
ble="false">8/17(金)公開『カメラを止めるな!』監督→上田慎一郎☆出演→有名ではない俳優さんたち(…スンマセン)この作品と出会ってから数ヶ月間の支配人の執念はいつか暴露したい(爆)天とゾンビが味方してくれなきゃここでは上映無理でした!… https://t.co/ZdOqTQS0EH
「カメラを止めるな!」上映予定館100館(一都一道二府40県)を超えました。それでもまだ #ポンデミック は止まらないそうです。全国制覇も夢ではないのかもしれない。 日本の全ての人に 「止められないナニカ」を届けたいです! Kee… https://t.co/6nELmmpka8
\\全国100館突破// 「カメラを止めるな!」 ついについに全国の上映劇場が≪100館≫を突破しました!!都内2館からはじまった映画が100館以上に…震えています。是非お住いの地域の劇場をチェックしてみて下さい!まだまだ増えます… https://t.co/X3sxPsELgW
【ULTIRAでポンデミック!】今週金曜日、8/3(金)にULTIRAでの「#カメラを止めるな!」の上映が決定しましたー!上映時間は19:25。当劇場が誇る最大スクリーンで起こすぞ京都ポンデミック✨ぜひご来場くださいませ!#カメ止め https://t.co/KdOoUdWH84
今週末のその他上映時間ですが、8/3が11:25/15:45/19:25/20:30、8/4~8/5 までが10:35/17:25/19:45、8/6~8/9が10:35/17:15/19:45です!8/4からの19:45の回は劇… https://t.co/eQaQf1Hxsr
珍しく上田監督ではなく、私へのコメント取材による『カメラを止めるな!』の記事です。『カメラを止めるな!』のヒットは、多くの方の熱量やコメント、そして周りの方へ映画を自発的に薦めていただいたおかげです。 本当に観ていただいた方々に愛… https://t.co/Xu49qJsOZa
❝シャイニングのTシャツがむちゃくちゃ着たくなる!!!!!!!!❞ #カメ止めネタバレなし感想選手権 #かめ止め #カメ止め愛 https://t.co/2sBFoztUoq
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3回目の鑑賞は、どうせならば音響効果が抜群のULTIRAスクリーンでの上映で観てみようかな(笑)。
今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。
やっぱりゾンビが欲しい!
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でしか?」
ゾンビ からだ・くらし・すこやかに
「すべてが最高としか言いようがなく、「映画」を賛美する本作に号泣しかない」
まず最初に一言、言わせてください。
この作品、俺のオールタイムベストです!
自分の中でのオールタイムベストはこれまで
熊切和嘉監督の「私の男」をであり、それは不動だと思っていたが、
まさか、インディーズ作品がそれを易々と塗り替えるとは思わなかった。
個人的にはこの作品にこそパルムドールをあげたい!
人里離れた山の中で、ゾンビ映画の撮影が敢行されていた。
しかし、リアリティーを求めるゆえエスカレートしていく監督の言動に
撮影は前に進む様子すらなく、休憩をいれることになったクルーたち。
そんな時、彼らの前に本物のゾンビが現れ ー
「カメラを止めるな!」
監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾。
国内外で大きな反響を呼び、その口コミが広がり連日満席という異例のヒットを記録。
監督は本作が劇場長編作品デビューとなる上田慎一郎。
ネタバレ極力なし(予告編で明かされていることに関しては触れます)
で評することにするが、それでも
「まず見ろ!」
としか言えない。金出すから、今すぐ劇場へ走り観てほしいほどだ!
なぜならば、予告編も見ず、あらすじも読まず、
作品の情報量が少なければ少ないほど、面白いに違いないからだ。
休日に関しては朝一に劇場へ行き、
整理券の争奪戦に勝たなければ鑑賞するのも難しいほど異例の混雑だが、
それでも観てほしい!他の作品?もう見なくていいです!
37分ワンカットで演出されるゾンビ映画で幕を明け、
その撮影に至るまでの物語が語られる第2幕、
そして、ついに撮影が敢行され、オープニングの裏側を見せていくクライマックスと
大きく分けて3部構成で展開される本作は、
オープニングで流れる「ゾンビ映画」の中に存在していた
「?」な「疑問」や「違和感」が伏線と成り代わり、
それを回収し、エンターテインメントに昇華していくという
言わば「パズル映画」であるわけだが、、、
三谷幸喜作品よりも完成度の高い喜劇性を持ち
そこには声を出して笑え、
また、「映画」という文化そのものを賛美するような
はたまた、「困難を乗り越えようと頑張っている人」を賛美しているような、
「映画賛歌」「人間賛歌」な幕引きに
自分はこれ以上にない多幸感に溢れた号泣をしてしまった。
まず本作の物語の始まりでもあり、終わりともなる
オープニングに流される37分に及ぶワンカットで演出される「ゾンビ」映画。
正に「自主製作」「Z級作品」と言うにふさわしいほど
チープさに溢れる映像は確かに人によっては拒絶反応を見せるだろうが、
低予算だからこそのアイデアと
それこそ作り手の「努力」が目に見えるようなワンカット演出ギミックが
スタートから作品のエンターテインメント性高めていく。
そんな「ゾンビ映画」の中で
後に伏線となる様々な出来事が描かれていくわけだが、
素晴らしいのは、あくまで観客に「疑問」を抱かせるに留まりながら、
確かに印象に残す「さりげない」種のまき方だ。
「ここは素人ぽいな…仕方ないか」
「今の演出はこの作品の根本を崩したな…仕方ないか」
というように、
映像的な安っぽさ、自主製作映画らしさが
ゾンビ映画内にある「違和感」や「疑問」を感じても
観ている側は「作り手側の失敗」として納得し、または容認し、
「まぁ、仕方ないよね…」と多目に見てしまうわけだが、
クライマックスでその作品の裏側が語られると
その「失敗」と思われたものが「伏線」として姿を変貌し、
次々に「疑問」や「違和感」を払拭しはじめ、
オープニングのゾンビ映画にこの上ない「喜劇」を与えていくからだ。
この作品のオープニング37分のチープさはおそらく計算されたもので、
その自主製作映画らしさが、この上ない安っぽさが
作品内の「違和感」を観客に「失敗」として理解させミスリードさせるからこそ、
それが次々に覆され、美しいほどにパズルをはめていくクライマックスは
観ているものに「驚き」と「納得」、そして「笑い」を休む間もなく与えていく。
さらに言えば、「37分ゾンビのゾンビ映画」は
物語のサスペンス性やアクションの見せ場も多く存在しており、
ロケ地をフルに活用したような映画的なダイナミックさ、
ゾンビ映画らしい絶妙なグロテスクさや
「本当に恐ろしいのは狂気に落ちた人間」と言った大黒柱も存在しているため、
単に伏線を張るだけの「オマケ」になっておらず、
それだけを取っても映画愛に満ちたエンターテインメント性を持っている。
だからこそ、一層本作のギミックはイースターエッグ的な部分を深め、
「これそうだったのか!」という種明かしの感動を上乗せさせていく。
そこらの「これ伏線ですよ」と自慢げに
パズルギミックのためにキャラクターを動かすだけの作品とは異なってもいる。
また、この作品断言できるのは
「映像製作」に関わっている方には一層面白く、
また、一層感動できる作品でもあるだろうという事。
前記したように「さりげない」伏線が冒頭で張りめぐらせていく訳だが、
その中には「カメラの手振れ」や「撮影方法の変化」と言った
撮影を知っていればこそ感じられる「違和感」も存在している。
要するに、映像に関わっている人であれば、
より様々な違和感に直感で気づくことが出来き、
反してそれは、「理解」があるからこそ一層「失敗」として容認させられてもしまうため、
種が明かされたときの面白味をより多く体感できるだろう。
そして、また面白いのが
映像作品を作る過程プロセスにおける「あるある」が組み込まれる第2幕。
映画らしく確かにデザインの成された「くせ者」揃いのキャラではあるわけだが、
事務所のNGやキャストの意見によって脚本がころころ変わってしまう事情、
そこから次第に監督がこだわりを失い「職業」に徹していく姿などが描かれており、
映像に携わっている方なら「あるある」として楽しめるし、
知らない方は裏側を覗ける興
も覚えるだろう。
しかし、この作品はそこで止まらず、
その製作プロセス内で生じる表には出せない「わだかまり」を
エンターテインメントとして昇華し、
なんならそれこそが作品の随所にカタルシスを量産していく。
クライマックス、オープニングで流されたゾンビ映画の撮影が始まると
伏線を回収するというギミックによる高いエンターテインメント性を放つわけだが、
それに加えて本作はキャラクターの秘めてきた「本音」がトラブルによって解放され、
第2幕で語られてきた「わだかまり」大胆な形で壊していくのだ。
様々なトラブルを本音を入り混ぜながら強引に突破し、
結果、そのトラブルとそれをカバーする強引さが
ゾンビ映画のクオリティーを奇跡的に良きものにしていく、
監督の求めるものとなっていくという展開は
観る者に主観的な臨場感と、客観的な応援心をくすぐっていく。
「ゲロ」があんなカタルシスと歓喜もたらすとは思わなかった。
「違和感」が伏線となり、それが全貌を明らかにするパズルをはめていき、
大胆な行動で撮影を続行し、
それらが人物関係にあった「わだかまり」を壊し、
時にキャラクターの成長を語ってしまう本作は
トラブルが起きる度にどんどん、ドンドンドライブ感を増していく。
そして、ラスト。
自分は今までにない幸せな号泣を味わった。
それはこの作品が「映画」を賛美し、頑張る人をも賛美していたからだ。
諦めることを知った男が
子から「諦めない心」を伝播され、尊厳を取り戻すという
「親子」の物語としても涙腺を緩ます訳だが、
個人的には、本作から醸される物作りに対する「熱量」に涙させられた。
映画は一人では作ることはできず、
人間関係のわだかまりもあれば、トラブルも付き物で順調にいくことなどまずない。
でも、みんなで作るからいいものが出来る!困難があるからこそ、楽しい!
そのようにこの作品は映画を賛歌していたようで仕方がなかったからだ。
あるワンカットを撮るためだけに団結するラストの一大スペクタクルは
正にその象徴であり、そのガムシャラな「熱量」に胸が熱くなり、
また、この作中内の出来事はこの作品を撮ったスタッフ、キャストの姿を
そのまま投影していくのだから、熱くて熱くて仕方がない。
自分達の持つ映画に対する「愛」や「熱量」を
見事なまでにエンターテインメントに昇華し、確実に投影する本作は
映画を作ることの困難さも、だからこその面白さも観る者に伝える。
それは「映画」そのものを賛美しており、
また、安っぽいが「諦めず頑張る人」をも賛美するようだった。
だからこそ自分はこの作品が
「映画賛歌」であり、「人間賛歌」だと思った。
幾多のトラブルを必死に乗り越え、
「無理難題」な作品を撮り終えるキャラクターたちの「熱」。
そして、本作を作り上げたスタッフ&キャストの
努力と映画愛に道溢れた妥協のない「熱」。
そんな現実とフィクションを股にかける
クラックラするほどの熱い想いに、歓喜し、号泣をしてしまった。
それは、そんな熱を失いつつある自分からは「羨ましい」もので
「悔しさ」でもあった。
そして素晴らしいのはキャスト陣だ。
長くなるので省略するが、
信じられないほど全員が全員好演を見せている。
脚本が俳優陣に合わせて当て書きされたという製作プロセスにより、
個々の魅力がしっかりキャラクターと合致していることもあるが、
それでもあまりにキラッキラした眩しいほどの輝きを放つ。
一切この作品に関わってもいないし、
「インディーズにしては」などということもなく、
エンターテイメント作品として最高の一言しかなく、
一人でも多くの人に薦めたい!観てもらいたい!
この感動を共有したい!という衝動に駆られる大傑作!
もはやこの作品を作ったすべての人に感謝しかない。
一切の迷いもないオールタイムベスト作品だ。
★★★★★「すべてが最高としか言いようがなく、「映画」を賛美する本作に号泣しかない」
まず最初に一言、言わせてください。
この作品、俺のオールタイムベストです!
自分の中でのオールタイムベストはこれまで
熊切和嘉監督の「私の男」をであり、それは不動だと思っていたが、
まさか、インディーズ作品がそれを易々と塗り替えるとは思わなかった。
個人的にはこの作品にこそパルムドールをあげたい!
人里離れた山の中で、ゾンビ映画の撮影が敢行されていた。
しかし、リアリティーを求めるゆえエスカレートしていく監督の言動に
撮影は前に進む様子すらなく、休憩をいれることになったクルーたち。
そんな時、彼らの前に本物のゾンビが現れ ー
「カメラを止めるな!」
監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾。
国内外で大きな反響を呼び、その口コミが広がり連日満席という異例のヒットを記録。
監督は本作が劇場長編作品デビューとなる上田慎一郎。
ネタバレ極力なし(予告編で明かされていることに関しては触れます)
で評することにするが、それでも
「まず見ろ!」
としか言えない。金出すから、今すぐ劇場へ走り観てほしいほどだ!
なぜならば、予告編も見ず、あらすじも読まず、
作品の情報量が少なければ少ないほど、面白いに違いないからだ。
休日に関しては朝一に劇場へ行き、
整理券の争奪戦に勝たなければ鑑賞するのも難しいほど異例の混雑だが、
それでも観てほしい!他の作品?もう見なくていいです!
37分ワンカットで演出されるゾンビ映画で幕を明け、
その撮影に至るまでの物語が語られる第2幕、
そして、ついに撮影が敢行され、オープニングの裏側を見せていくクライマックスと
大きく分けて3部構成で展開される本作は、
オープニングで流れる「ゾンビ映画」の中に存在していた
「?」な「疑問」や「違和感」が伏線と成り代わり、
それを回収し、エンターテインメントに昇華していくという
言わば「パズル映画」であるわけだが、、、
三谷幸喜作品よりも完成度の高い喜劇性を持ち
そこには声を出して笑え、
また、「映画」という文化そのものを賛美するような
はたまた、「困難を乗り越えようと頑張っている人」を賛美しているような、
「映画賛歌」「人間賛歌」な幕引きに
自分はこれ以上にない多幸感に溢れた号泣を
してしまった。
まず本作の物語の始まりでもあり、終わりともなる
オープニングに流される37分に及ぶワンカットで演出される「ゾンビ」映画。
正に「自主製作」「Z級作品」と言うにふさわしいほど
チープさに溢れる映像は確かに人によっては拒絶反応を見せるだろうが、
低予算だからこそのアイデアと
それこそ作り手の「努力」が目に見えるようなワンカット演出ギミックが
スタートから作品のエンターテインメント性高めていく。
そんな「ゾンビ映画」の中で
後に伏線となる様々な出来事が描かれていくわけだが、
素晴らしいのは、あくまで観客に「疑問」を抱かせるに留まりながら、
確かに印象に残す「さりげない」種のまき方だ。
「ここは素人ぽいな…仕方ないか」
「今の演出はこの作品の根本を崩したな…仕方ないか」
というように、
映像的な安っぽさ、自主製作映画らしさが
ゾンビ映画内にある「違和感」や「疑問」を感じても
観ている側は「作り手側の失敗」として納得し、または容認し、
「まぁ、仕方ないよね…」と多目に見てしまうわけだが、
クライマックスでその作品の裏側が語られると
その「失敗」と思われたものが「伏線」として姿を変貌し、
次々に「疑問」や「違和感」を払拭しはじめ、
オープニングのゾンビ映画にこの上ない「喜劇」を与えていくからだ。
この作品のオープニング37分のチープさはおそらく計算されたもので、
その自主製作映画らしさが、この上ない安っぽさが
作品内の「違和感」を観客に「失敗」として理解させミスリードさせるからこそ、
それが次々に覆され、美しいほどにパズルをはめていくクライマックスは
観ているものに「驚き」と「納得」、そして「笑い」を休む間もなく与えていく。
さらに言えば、「37分ゾンビのゾンビ映画」は
物語のサスペンス性やアクションの見せ場も多く存在しており、
ロケ地をフルに活用したような映画的なダイナミックさ、
ゾンビ映画らしい絶妙なグロテスクさや
「本当に恐ろしいのは狂気に落ちた人間」と言った大黒柱も存在しているため、
単に伏線を張るだけの「オマケ」になっておらず、
それだけを取っても映画愛に満ちたエンターテインメント性を持っている。
だからこそ、一層本作のギミックはイースターエッグ的な部分を深め、
「これそうだったのか!」という種明かしの感動を上乗せさせていく。
そこらの「これ伏線ですよ」と自慢げに
パズルギミックのためにキャラクターを動かすだけの作品とは異なってもいる。
また、この作品断言できるのは
「映像製作」に関わっている方には一層面白く、
また、一層感動できる作品でもあるだろうという事。
前記したように「さりげない」伏線が冒頭で張りめぐらせていく訳だが、
その中には「カメラの手振れ」や「撮影方法の変化」と言った
撮影を知っていればこそ感じられる「違和感」も存在している。
要するに、映像に関わっている人であれば、
より様々な違和感に直感で気づくことが出来き、
反してそれは、「理解」があるからこそ一層「失敗」として容認させられてもしまうため、
種が明かされたときの面白味をより多く体感できるだろう。
そして、また面白いのが
映像作品を作る過程プロセスにおける「あるある」が組み込まれる第2幕。
映画らしく確かにデザインの成された「くせ者」揃いのキャラではあるわけだが、
事務所のNGやキャストの意見によって脚本がころころ変わってしまう事情、
そこから次第に監督がこだわりを失い「職業」に徹していく姿などが描かれており、
映像に携わっている方なら「あるある」として楽しめるし、
知らない方は裏側を覗ける興奮も覚えるだろう。
しかし、この作品はそこで止まらず、
その製作プロセス内で生じる表には出せない「わだかまり」を
エンターテインメントとして昇華し、
なんならそれこそが作品の随所にカタルシスを量産していく。
クライマックス、オープニングで流されたゾンビ映画の撮影が始まると
伏線を回収するというギミックによる高いエンターテインメント性を放つわけだが、
それに加えて本作はキャラクターの秘めてきた「本音」がトラブルによって解放され、
第2幕で語られてきた「わだかまり」大胆な形で壊していくのだ。
様々なトラブルを本音を入り混ぜながら強引に突破し、
結果、そのトラブルとそれをカバーする強引さが
ゾンビ映画のクオリティーを奇跡的に良きものにしていく、
監督の求めるものとなっていくという展開は
観る者に主観的な臨場感と、客観的な応援心をくすぐっていく。
「ゲロ」があんなカタルシスと歓喜もたらすとは思わなかった。
「違和感」が伏線となり、それが全貌を明らかにするパズルをはめていき、
大胆な行動で撮影を続行し、
それらが人物関係にあった「わだかまり」を壊し、
時にキャラクターの成長を語ってしまう本作は
トラブルが起きる度にどんどん、ドンドンドライブ感を増していく。
そして、ラスト。
自分は今までにない幸せな号泣を味わった。
それはこの作品が「映画」を賛美し、頑張る人をも賛美していたからだ。
諦めることを知った男が
子から「諦めない心」を伝播され、尊厳を取り戻すという
「親子」の物語としても涙腺を緩ます訳だが、
個人的には、本作から醸される物作りに対する「熱量」に涙させられた。
映画は一人では作ることはできず、
人間関係のわだかまりもあれば、トラブルも付き物で順調にいくことなどまずない。
でも、みんなで作るからいいものが出来る!困難があるからこそ、楽しい!
そのようにこの作品は映画を賛歌していたようで仕方がなかったからだ。
あるワンカットを撮るためだけに団結するラストの一大スペクタクルは
正にその象徴であり、そのガムシャラな「熱量」に胸が熱くなり、
また、この作中内の出来事はこの作品を撮ったスタッフ、キャストの姿を
そのまま投影していくのだから、熱くて熱くて仕方がない。
自分達の持つ映画に対する「愛」や「熱量」を
見事なまでにエンターテインメントに昇華し、確実に投影する本作は
映画を作ることの困難さも、だからこその面白さも観る者に伝える。
それは「映画」そのものを賛美しており、
また、安っぽいが「諦
ず頑張る人」をも賛美するようだった。
だからこそ自分はこの作品が
「映画賛歌」であり、「人間賛歌」だと思った。
幾多のトラブルを必死に乗り越え、
「無理難題」な作品を撮り終えるキャラクターたちの「熱」。
そして、本作を作り上げたスタッフ&キャストの
努力と映画愛に道溢れた妥協のない「熱」。
そんな現実とフィクションを股にかける
クラックラするほどの熱い想いに、歓喜し、号泣をしてしまった。
それは、そんな熱を失いつつある自分からは「羨ましい」もので
「悔しさ」でもあった。
そして素晴らしいのはキャスト陣だ。
長くなるので省略するが、
信じられないほど全員が全員好演を見せている。
脚本が俳優陣に合わせて当て書きされたという製作プロセスにより、
個々の魅力がしっかりキャラクターと合致していることもあるが、
それでもあまりにキラッキラした眩しいほどの輝きを放つ。
一切この作品に関わってもいないし、
「インディーズにしては」などということもなく、
エンターテイメント作品として最高の一言しかなく、
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この感動を共有したい!という衝動に駆られる大傑作!
もはやこの作品を作ったすべての人に感謝しかない。
一切の迷いもないオールタイムベスト作品だ。
★★★★★
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