分け入っても分け入ってもビデオカメラ
長女↓
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妄想のお話です。実在の御方々とは関係ありません。BのLもOKの方、よろしければお付き合いください。
♠︎= side S
朔太郎(サク、サッちゃん)=智くんの甥 レオン(レオ)=翔さんの息子
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「それでは、俺らの3周年と、2人の新たな門出を祝して、乾杯!」
「「乾杯!」」「「かんぱ〜い」」
智くんの手料理が並べられたダイニングテーブルは、サッちゃんの手で華やかに飾り付けられた。カラさん仕込みのテーブルセッティングが見事だ。
今日は昼から、ニノと相葉ちゃんを招待しての食事会で、家族皆で準備をした。俺は買い出しくらいしか手伝っていないけど。
「まあ正直、翔さんがここまで続くとは思いませんでしたよ」
「ほんと。翔ちゃんたらすっかり可愛くなっちゃって。おーちゃん、どんな手を使ったの」
「ちょっと、2人とも、子供の前で変なこと言わないで」
智くんは笑うだけで何も言わない。
サッちゃんはキョトンとした表情で隣のレオンを見るが、レオンは相手にするなとばかりに顔の前で手を振る。
「そんなことより、2人のほうがびっくりだよ。まさか結婚するなんて」
今日の食事会は、ニノと相葉ちゃんの結婚祝いと、俺らの結婚3周年記念を兼ねたものだった。
ものには困らない2人に、どんなお祝いができるか家族会議をした結果、手料理でもてなすということに決まった。
「ははは、私も驚いています」ニノが照れるでもなく、飄々と笑う。
「ニノってば、プロポーズしても冗談で片付けようとしたんだよ。ひどくない?」
「おいちゃんも、2回ぷろぽーずしたもんね」サッちゃんが屈託無く笑う。
「え! 翔ちゃん、1回断ったの?」
「そうじゃないよ」
「おいらは、相葉ちゃんの気持ちがよおく分かるよ」智くんが、相葉ちゃんの手を取って、何故か2人で頷き合っている。
ニノと相葉ちゃんは、互いに尊重しあう仲で、俺にとっても理想的なカップルだった。
相葉ちゃんがニノにベタ惚れなのは、誰の目から見ても明らかで、尻に敷かれている感は否めない。
が、子供の頃から20年以上の付き合いの2人には、他人には計り知れない絆があるのだろう。
「にの、結婚したら、ゲームやめちゃう?」サッちゃんが眉を八の字のして聞く。
「まさか。そんな条件なら絶対に結婚なんかしないよ」
「よかった〜」今度はレオンがホッとした表情を見せる。
子供の思考というのは時に突飛で面白い。
大方、結婚というのは、これまでと変わること、ゲームまでやめてしまうのかと心配したのだろう。
ニノは、ゲームが上手いという一点で、子供達から絶大な支持を受けている。
「どうして、“結婚” って形を取ることにしたの?」
同性婚も以前に比べれば格段に知名度を持つようになったが、相変わらず手続きが煩雑で条件も重く、あえて結婚という形式を取らないカップルは多い。
「俺、次期社長に決まったの」
相葉ちゃんがサラリと言う。相葉グループって言ったら、年商◯百億の、大会社だ。
「えっ、すごい。それで?」
「そ、私は財産目当てです」
「ははは、ニノらしいな」
智くんは笑うが、相葉ちゃんは「もう、ニノ〜」と、泣きそうな顔だ。
「ところで、2人は、“3年目の何とか” は大丈夫だったの」ニノが茶化すように言った。
「え、あるわけないだろ。子供の前でそんな話をするなよ」智くんが珍しく怒っている。
「3年目の何とかって、なに?」何のことだ?
「え、翔さん、マジで言ってるの」
「ニノ、翔ちゃんは外国の人と同じって思ったほうがいいよ。とぼけてるんじゃなくて、たぶん本当に知らないんだよ」
相葉ちゃんから説明された、「3年目の浮 気」という言葉は、笑い飛ばしていいレベルの話だった。
「うわきって、なあに?」
サッちゃんの口からこんな言葉を聞くなんて。
「サク、大人の話だよ。知らなくていい」
智くんがそう流すと、レオンが「後で教えてやる」とか言うから、2人の間に火花が散った。
「もう、ニノ。そんなこと、あるわけないでしょ」
「もう4年目だから、危機は去ったってことじゃない?」相葉ちゃんも援護する。
「でも、あれ、続きあるよね。3年目の浮 気、5年目の破 局って」
「ニノ〜、もう、お祝いなのに…」相葉ちゃんが困り果てたように呟く。
「大野さんも翔さんも、揶揄うと面白いんだもん」
「…俺らで遊ぶな」
「にの、パパとおいちゃん、いじめないで」
サッちゃんにそう言われ、ニノもさすがにバツが悪そうな顔をする。
「おじちゃん、サッくんのデザートが食べたいな」相葉ちゃんの一言でニノが窮地から救われた。
「えへへ、今日はタルト・オ・ポワールだよ」
サッちゃんのフランス語の発音は、なかなか板に付いている。
リヨンから帰った後も、ユウヤの娘たちとよく電話をしているようだ。
「洋ナシのタルトなんだよね。俺が運ぶよ」手伝ってはいないが、横で作っているのは見ていた。
「パパ、僕も。飾り付けあるの」
サッちゃんと一緒にキッチンに行くと、「結婚おめでとう」と「3周年おめでとう」のプレートが用意されていた。
「パパ、これからもおいちゃんと仲良くしてね。これは、パパにだよ」と、俺のタルトに別のプレートを載せる。
「パパ大好き」と書かれた文字が涙でにじんだ。…俺、本当に幸せだ。
—–
「智くん、支度できた?」
「おう。子供っちは?」
「もうリビングに…」言いかけて、智くんのスーツ姿に思わず見惚れる。
「智くん、カッコいい…」
光沢のあるドレッシーなスーツは、俺が選んだものだ。
「翔くんも綺麗だよ」
「ふふ、こうして見ると、俺らが結婚するみたいだね」
「もう一回、挙式するか?」
姿見の中の智くんと目が合う。
優しく微笑んだと思ったら、急にいたずらっぽい表情になった。
「翔くんのそれ、脱がすの楽しみだな」
「もうっ、ムードが台無し」
「あはは、ごめんて。あんまり綺麗だから、緊張したの」
「緊張?」
「そ、翔くんが綺麗で、すげードキドキする…」
そ
言って、智くんが甘い眼差しで見つめた。
「パパ〜、おいちゃ〜ん、ま〜だ〜?」
階下からサッちゃんが痺れを切らしたように叫ぶ。
「今行く〜」と返事をする智くんと見つめあって、優しいキスを交わした。
今日は、ニノと相葉ちゃんの結婚式だ。
秋晴れと言うのか、もう11月だから冬晴れか、抜けるような青空は、幸せな日にぴったりだった。
—
「今日はレオがビデオ撮るんだよ」
車中、サッちゃんが隣に座るレオに、ビデオカメラを渡している。家族イベントはサッちゃんがビデオ係を務めることが多かったが、今日は披露宴で出される料理やデザートの研究に勤しむつもりらしい。
「レオン、サクばっか撮んじゃねえぞ」
智くんがクギを刺すわけは、以前家族旅行で、レオンにビデオカメラを預けたら、サッちゃんしか映ってなかった、ということがあったからだ。そんなのも家族の思い出として、俺は楽しんでいる。
「分かってるよ」と言いながら、レオンは早速隣のサッちゃんを撮影し始めた。
—
会場は、相葉ちゃんちの会社が所有する豪華な式場だった。
併設の教会は、横浜にあった歴史ある建物を移築したらしく、まだ新しい式場にも関わらず、趣のある佇まいをしている。
教会に入ると、既に多くの参列者が席についていた。
後ろからでも誰が来ているか、大体の顔ぶれは分かった。
中にはニノの店で見かけるヤツもいる。
今回の出席に際し、事前にニノから参列者の名簿を確認させてもらっていた。
万が一にも、俺の昔の男と智くんが鉢合わせしないようにだ。
「大野、くん…?」
案内されて席に着くと、式場のスタッフが、驚いた表情で固まった。
「ユーリ…」
智くんが優しい笑顔を向けたのは、まだ学生と思わしき男の子だった。
(続きます)
ユーリくん初登場です
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