言い過ぎを通販でらくらくお取りよせ
空と海と大地と言い過ぎ
* S *
雅紀が高槻さんとよく出かけるようにな
った。
雅紀の交友関係にまで口を出すつもりは
もちろんない。
アイツを縛るようなことはしたくない。
でも…どうしても…ココロがざわつく。
オレってこんな小さいオトコだったのか。
ガチャッ
「 ただいまぁ 」
「 おかえり 」
雅紀がオレの唇にチュッとキスをして、
キッチンへと向かう。
「 今日ねぇ
お料理教室だったんだよ 」
「 へ?どっかロケだっけ? 」
「 ちがうちがう
高槻さんちでね、料理教えてもらって
きたの 」
は?高槻さんち?
「 なんだよ、家行ったの? 」
「 うん、この間のね… 」
「 なにやってんだよ!
家になんて行って、なんかあったらどう
するんだよ! 」
思わず大きな声を上げてしまった。
一瞬、悲しそうな顔をした雅紀の表情が
怒りに変わる。
「 なんかってなんだよ!
高槻さんはすごくいい人だよ
友達なんだよ
そんな言い方すんな! 」
高槻を庇う雅紀に腹が立った。
もうやめておけと頭では思うけど…
「 だから!
オマエを狙ってるヤツなんてたくさん
いるんだよ
いい加減、自覚しろ!
簡単に男の家について行ってんじゃねー
よ! 」
言い過ぎた…と思ってももう遅い。
今までに見たことのない雅紀の怒った顔。
「 いい加減にするのはしょーちゃんだろ!
オレが男友達の家に遊びに行ってなにが
悪いんだよ! 」
「 雅紀… 」
「 なんなんだよ
オレのこと信じてねーの?
意味わかんねーよ!
オレがしょーちゃんに抱かれてるから、
そうゆう目で見んの?
オレは…
オレはアンタのオンナじゃない! 」
「 雅紀! 」
カギとリュックを持って玄関へ向かう雅紀
の手を掴む。
その手を…振り払われる。
完全なる拒絶。
バタンッ
最後に見たのは、涙が頬をつたう泣き顔だ
った…