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短編 フィットするって、気持ちいい。

 三津田信三 (@shinsangenya)さんが8:36 午前 on 月, 2月 19, 2018にツイートしました。

 「刀城言耶シリーズの久しぶりの新作(九作目)『碆霊の如き祀るもの』を脱稿する。「碆霊」は「はえだま」。
 さて今回、言耶が巻き込まれるのは強羅地方の犢幽村での怪談殺人事件! 果たして彼は無事に事件を解決できるのか?
 刊行は原書房より六月か七月ごろかな。からしもすりすりして労ってくれた。 」



刀城言耶シリーズとは?
日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞&年末各種ミステリーランキング総なめの民俗学ホラーミステリーシリーズ


(すべて講談社文庫)
1⃣厭魅の如き憑くもの
(2006年2月 原書房)2009年3月 講談社文庫


2⃣凶鳥の如き忌むもの
(2006年9月 講談社、【新装版】2009年4月 原書房)2012年10月 講談社文庫


3⃣首無の如き祟るもの
(2007年5月 原書房)2010年5月 講談社文庫


4⃣山魔の如き嗤うもの
(2008年4月 原書房)2011年5月 講談社文庫


5⃣密室の如き籠るもの【短編集】
(2009年7月 講談社)2012年5月 講談社文庫


6⃣水魑の如き沈むもの
(2009年12月 原書房)2013年5月 講談社文庫


7⃣生霊の如き重るもの【短編集】
(2011年7月 講談社)2014年7月 講談社文庫


8⃣幽女の如き怨むもの
(2012年4月 原書房)2015年6月 講談社文庫


9⃣碆霊の如き祀るもの
(2018年6月か7月 原書房)刊行予定


2016年9月12日付け拙稿

【三津田信三『黒面の狐』-今年度No.1間違いなし!-炭鉱を舞台に戦後の闇を抉るゴシックミステリー】


これは刀城言耶シリーズに匹敵する三津田信三の新たなライフワークだ★

9月12日刊


ホラーミステリの名手が「炭鉱」を舞台に繰り広げる濃密な世界
『黒面の狐』三津田信三 著(文藝春秋)


聞き手:「本の話」編集部
2016.09.16 07:30 /  エンタメ・ミステリ 



「ホラーミステリの面白さだけでなく、炭鉱ならではの物語性にも重きをおいて書きました」



戦後まもない北九州の炭鉱で起きた、不可解な連続怪死事件。現場に現れた黒面の狐は、人なのか、人にあらざるものなのか?
炭鉱(ヤマ)で働く屈強な男たちの心を、次第に疑いと恐怖が蝕んでいく。
ホラーミステリーの名手による、重厚かつ壮大な書下ろし長篇!


『黒面の狐』(こくめんのきつね)
三津田信三(みつだしんぞう) 著

――まず、このご本をお書きいただいた動機、炭鉱という題材を選ばれた理由をお聞かせ下さい。

三津田 のっけから他社の話で申し訳ないのですが、炭鉱はもともと、刀城言耶シリーズの題材として考えていました。あのシリーズは敗戦後の地方が舞台ですから、農村、山村、漁村、孤島と、何作も書いていると舞台が固定化してしまう。それでどこか変わった場所を……と考えて取り上げた題材に、『幽女の如き怨むもの』(2012年)の遊郭があったわけです。

 その遊廓と前後して、目をつけたのが炭鉱です。それで資料をずっと集めていたんですが、いざ読み込みはじめると、これはシリーズものには向いていない題材だと気づきました。刀城言耶という探偵役は、完璧にマレビト、よそからやってきた異人です。そういう位置づけだからこそ、村という共同体の人々が見えていない事実に、彼だけは気づくことができる。だから事件を解決に導ける。そういう仕掛けがあるわけです。

 ところが炭鉱は、そんな村よりもさらに閉鎖的なんです。完璧に閉ざされた社会なんですね。民俗学者の宮本常一さんも「炭鉱だけは、従来の民俗採訪の手法が通用しない」と言っている。なぜかというと、炭坑夫の数だけドラマがあるからです。時代や場所や人が少しでも変わると、語られるお話そのものが違ってくる。仮に同時代でも所が変われば、もう別の話になってしまう。それは炭鉱会社にも言えます。道具ひとつ、明かりひとつ、安全対策ひとつとっても、大企業と中小、また個人では全然違います。そこにはマレビトである刀城言耶が入り込む余地がない。これまでの農山村のように、決して簡単には溶け込めない世界がある。ある程度のリアリティをもって、炭鉱という閉ざされた社会を描くためには、むしろ刀城言耶は邪魔だと思いました。

 それに本書では、主人公自身を炭坑夫にしたかった。そうして実際の苦労を味わわせたかった。そこで刀城言耶シリーズ作品にするのではなく、物理波矢多(もとろいはやた)という新たなキャラクターを創ることにしたわけです。

――主人公は満洲の大学に学んで帰国したインテリ。ユニークな設定ですね。

三津田 探偵役には知的な人物が相応しいですが、世間の人が炭坑夫に抱く印象は違います。実際には知的な炭坑夫も、もちろんいました。そういう中には、言葉は悪いけれど“身を落として”炭坑夫になった人もいたはずです。そこで新しい探偵役を考えるにあたり、とてつもない挫折を味わったエリート、という設定にしたわけです。そのため導入部分はかなり丁寧に書きました。

――本格ミステリとして苦労された点はありますか? 

三津田 刀城言耶シリーズの場合、最初に核となるアイディアがあって、それに相応しい舞台を探していきます。しかし『幽女の如き怨むもの』と『黒面の狐』は、先に書きたい舞台設定と、取り上げたいテーマがありました。そのため時代と舞台に合ったミステリのアイディアを考えるのに、ちょっと苦労しました。もっとも僕は、もともと書きながらお話やトリックを考えるタイプなので、何とかなったのかもしれません。自分でも「この先どうなるんだろう?」と思いながら書いています。あらかじめプロットが決まっているお話を書くのは、非常に苦痛なんです(笑)。

――なるほど、それが三津田作品に、うねりやダイナミズムを生んでいる気がします。

三津田 前もってお話の展開をあまり考えていないからこそ、逆に、おそらく無意識に、物語を変な方向へ動かそうとするのかもしれません。それが今おっしゃった「うねり」になっている気がします。これは下手をすると、過剰さにつながります。でも僕は、そもそも「いびつな」物語が好きなんです。



――三津田さんの中でミステリとホラーはどのようなバランスで存在しているのでしょうか。

三津田 中高生のころは、海外の翻訳ミステリマニアでした。そのうち、すべてを論理で割り切ろうとする本格ミステリに、矛盾や物足りなさを感じるようになりました。その反動で、ミステリに近親憎悪に近い感情を覚えて、いつしかホラーに走ってました(笑)。それこそ古典からS・キングなどのモダンホラーまで、一気にのめり込んだ。ただ、そのあと泡坂妻夫さんや連城三紀彦さんがデビューされて、ミステリの魅力を再認識させられました。それからは両方とも好きなままです。

 作家としてデビューした当初は、本当に趣味で書いていました。それが6作目の『厭魅(まじもの)の如き憑くもの』(2006年)で、はじめて「読者」と「商業」を意識しました(笑)。ミステリを書く作家は、僕よりすごい人が沢山いる。けど、ホラーとミステリを完全に融合させた作家は、少なくとも僕の知る限りいません。それを民俗学ネタで書けば面白いのではないか、と考えました。不条理なホラーと論理的なミステリは、もちろん水と油ですが、これなら挑戦しがいがあると思ったわけです。

 ただ、やはり最初は、なかなか受け入れられませんでした。ですから次の『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』(2006年)では、かなりミステリ寄りに振りました。でも、次の『首無の如き祟るもの』は、自分でもどちら寄りなのか分かりません。読者によっては、本格ミステリ寄りだという人もいれば、ホラー寄りだという人もいて。それからは色々な融合を試せるようになり、今日に至っています。

 ただし拙作の場合、「ホラーを書いて下さい」という注文が来ても、ミステリの要素が入ってしまうのは、やっぱりミステリが好きだからでしょう。逆に『黒面の狐』のように、「本格ミステリを」という執筆依頼をいただいても、ホラー要素が入ってくるのは、ホラーも大好きだからです。仮に右手がホラーで左手がミステリだとすると、両手で書いている感覚でしょうか。

――本格ミステリの場合、論理的解釈で結末がついていれば本格と認識される反面、ホラー的要素の取り入れ方が難しいのでは?

三津田 ミステリとホラーを融合しようとした場合、間違いなくホラーはミステリに負けます。どれほどホラー的な世界を展開しても、最後に論理的な解決を持ってくると、その瞬間に霧散してしまう。かといって最終的にホラーに逃げるようでは、それこそ融合の意味がない。では、どうやったら負けないで、ミステリと拮抗させられるのか? それはホラーの世界観を徹底的に作り込むことです。だから僕は『厭魅の如き憑くもの』で、無気味な因習に縛られ過ぎた架空の村を一から作りました。そこまでやると、論理的な本格ミステリの真相や結末が最後にきても、まず世界観は壊れない。必ず読者の中に残ります。ホラーに逃げては駄目だけど、ホラーが負けてもいけない。そんな気持ちがあります。

――今回は、それに、日本の戦後史の闇の部分を描くという、新たな挑戦がありました。

三津田 ホラーの舞台として興味を持って調べはじめた「炭鉱」ですが、資料を読み込むうちに、そこで生きた人々に目が行くようになりました。炭鉱で働く人々の過酷な労働の歴史から、どうしても目を背けるわけにはいかなくなったんですね。この人たちの思いを再現して、小説の中に書きたい。これは『幽女の如き怨むもの』で遊郭と遊女を取り上げたときと、まったく同じ気持ちです。エンターテイメント作家として、果たして良いのか悪いのか難しいところですが、大きな変化だと思います。

 昨今の海外ミステリは謎解きよりも、テーマの扱い方、題材の掘り下げ方に重点が置かれています。仮に彼らが日本の敗戦後の炭鉱を舞台にしたら、きっと人間ドラマに力を入れたことでしょう。でも僕は、“作り物”であるミステリと、現代史の闇の“本物”の部分、その両方を取り込みたかった。これってホラーとミステリの融合と、相通じるところがあるのかもしれません。

――最後に、読者に何か一言ください。


 刀城言耶シリーズの新作を待っている方には申し訳ないのですが、刀城言耶ファンにも満足していただける、濃い作品になっていると思います。ぜひお読み下さい。





『黒面の狐』三津田信三著(文藝春秋)

作品紹介

あの真っ暗闇の奥から、
何かが私を凝っと覗いている。

戦後まもない北九州の炭鉱で起きた、不可解な連続怪死事件。
真相を知るのは、ただ黒面の狐のみ……?

戦後まもない混乱期。主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。そこで、同室の合里が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。その現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され……。

細密な炭坑の描写の中から、じわじわと迫ってくる恐怖と連続する密室殺人の謎。本格ミステリとホラーの魅力を併せ持った重厚な力作書下ろし長篇。










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短編はやさしい


短編 関連ツイート

短編+1

長編の話がもう少し進んだらサーチにお世話になろうと思います。

RT @TorisugariLisPo: #RTした人の小説を読みに行く

最近、読書あまりしないので、他の作品を読み勉強させていただこうかなと思います。

詩でも、短編でも、まだ連載中でも構いません。
リプで詳細を教えてくださいまし!

ありがとうございます!

これぐらいの量の方が、飽きずに載せれるって知りました(初めて短編書いたかも)

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