キラリと光る言い過ぎ!

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言い過ぎ にんげん、岩田のつもりです。

夫が突然この世を去り、早いもので5年と半年が過ぎた。その間「再婚とか考えますか?」という質問を恐らく100回以上は受けてきただろう。さすがに死別直後はなかったが、1年、2年と時間が過ぎるにつれて訊かれることが多くなった。ただ、死別直後の時期でも「まだ若いんだからやり直しがきく」と変な助言をくれる人が結構な割合でいた。要するに同じ意味だと思う。

彼が亡くなった時、私は44歳だった。女性としてはもうそんなには若くはないが、人としてはまだ先が長い。平均寿命まで生きるとしたら40年以上ある余生を独りで寂しく生きるつもりかという意図での質問だろう。夫と私の間には子供がいなかったので尚更だろう。

我ながら興味深いのは、死別から半年ぐらいが過ぎた頃、再婚を考えた時期があった。相手がいた訳ではない。単にひとりで「立ち直ったら絶対再婚するぞ」と決めていただけだ。「立ち直ったら」と言うよりは「再婚することで立ち直ろう」と思っていた。最愛の人がある日突然まるで神隠しにあったかのように忽然とこの世からいなくなって、対処できない程の寂しさを抱えていた。胸を突き抜けるような、まるで痛みにも近いその寂しさを抱えて余生を生きていくことを想像するだけで気が狂いそうになったものだ。誰でもいいから側にいてくれたらその寂しさが癒えるのではないかと本気で信じていた。

現実は、再婚どころか、お茶飲み友達のひとりすらつくれなかった。つくる努力すらできなかったと言う方が良いかもしれない。現実の世界で会うことが不可能ならせめて夢の中でもいいからもう一度夫に会いたいと切実に願っていた時に、別の男性に対しても恋愛沙汰にも興味が湧かなかった。水の枯れた井戸のように、私にはもう他の誰かにあげる愛情が無かったのだと思う。

早く相手を見つけて再婚しなければいけないという使命感は相当大きかった。その一方で、それに対して全く興味が湧かず嫌悪感すら覚える自分に対して「課せられた使命を達成できないワタシ」とうレッテルを自分で自分に貼って自己嫌悪に陥っていた時期が結構長かったように思う。

その間、女性の友人から彼女の交際相手の知人を紹介されたことがあった。アルバイト先にやってくるお客さんからデートに誘われたこともあった。夫の知人から不倫の誘いを受けたこともあった。そうやって世間が私を女性として扱う度に違和感を持った。私自身、もう女性として生きる時期が終わったような感覚だった。昔、日本では武士の夫が他界すると残された妻は髪を下ろして仏門に入るのが習慣だったが、その感覚に似ている。

死別から4年が過ぎた頃、最大の懸案事項だった訴訟問題にようやく解決の兆しが見え始めた。その半年後、確実な方向性が示され、不確定だった経済面に見通しがついた。訴訟に負けたら死のうと覚悟を決めていた私にとって、弁護士から決定的な報告を受けた時の安堵感はどんな言葉でも言い表せないほどのものだった。生まれてから今日までで最大の安堵感と言っても言い過ぎではない。

弁護士との電話を切った後、一番最初に浮かんだのが「これでもう再婚しなくてもいいんだ。一生ひとりでいてもいいんだ。」と言う思いだった。そう思った瞬間、自身が再婚を望んでいなかったことに気がついたのだ。

「再婚したいのに相手を探せない私」から「再婚したくないから相手を欲しくない私」へと、自身を見る目が変わった。「そうだ、欲しく無かったんだ。相手なんて。4年半前も、今日も。たったの一度すら欲しいと思ったことが無かったんだ。」と、ようやく自分の本当に気持ちを受け入れることができた。それから1年後、つまり今日の私は、全く変わっていないままだ。もう、ひとりで充分だ。彼との楽しい思い出だけで充分この先も生きていけると思っている。

実は、2ヶ月ほど前からまた結婚指輪をはめている。いや、はめ始めたのは4ヶ月ほど前だ。最初は左の薬指にはめられず当分は右の薬指にはめていた。大切にしまっていた箱から取り出し、左の薬指にはめてみたら涙が溢れ出して左はまだ無理だとわかったので右に変えたらなんとか行けそうだったのでそのままにした。そして2ヶ月ほど前のある日、そっと左に移してみたら、大丈夫だった。

どうしてまた結婚指輪をはめる気になったのかは本当のところが自分でもよくわからないが、恐らく、安心感が大きく影響していると思う。左の薬指に指輪があるのを見る度に「もう無理してまで相手を探さなくてもいいんだ」と思う。その思いには「誰かに好かれる為に自分じゃない自分になったり演じたりする必要がないから、ありのままの自分でいてもいいんだ。」という大きな意味が含まれている。私は相当変わり者だから、ありのままの私を好きになる男性はこの日本にはいないか、いても非常に少ないだろう。夫は日本人だったけど外国で出会ったし、彼も私以上に変わり者だったから変わり者同士で気があった。ありのままの私を好きなってくれた彼と出会えたことは奇跡だった。そしてこれからも、彼が愛してくれたありのままの私で生きていけることが本当に嬉しい。訴訟に勝った最大のメリットは自分が自分らしく生きていける自由を手に入れたことかもしれない。

今日もまた「再婚は考えないんですか?亡くなったご主人のことが好きすぎて、無理ですか?」と訊かれた。だから「5年半も経つと、ひとりでいることが楽になってくるんです。ひとりはとても寂しいけど、とても気楽です。あの世から彼が帰ってこない限りは、誰かと一緒に暮らすことはもう無理ですね。」と答えた。その人は「わかりました」と言って微笑んで帰っていった。

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一人暮らしを愛しすぎた独身♀カマタミワです。長年の一人暮らしの日常や、今までに出会った忘れられない人々のことを漫画にしていきます。

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いつも見に来て下さってありがとうございます。たくさんのコメント、いいね、ランキング投票など、ありがたいです。本を読んで下さった方も、ありがとうございます!

先週、仕事終わりに軽くお花見してきました。そしたら、自分のお花見ぶりが昔とだいぶ変わったなーと思ったので、描いてみます。

老いた~~~!!分かりやすく心身共に老いた~~~~

でも大人(というかなんかおばあちゃん)の花見も美味しいし楽しいよ!冷え性だけどうにかしたいけど。みなさまの「何かの帰りに軽く花見(ちゃんとした花見じゃなく)」はどんな感じなのかな?あと、4年目にしてやっと念願の苺大福食べられたよ!!!コメントで「今年は食べられましたか?」ってリマインドしてくれた方、ありがとう!おかげで2回も買って食べられたよ~~

【私が期間限定苺大福に連敗する様子】
  

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言い過ぎ 関連ツイート

@masahito_5 言い過ぎしん
@chujitupanda @mm8_ya 昨日からそれ言い過ぎやない?w
@yurinya1128 あの、みんな、嘘言い過ぎじゃない?ブスやないの。

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